自家堆肥でキビ4メートル超 人、環境に優しい農業を 知名町の児玉さん

2023年01月18日

社会・経済 

児玉さんが栽培したサトウキビ=2022年11月22日時点

【沖永良部総局】知名町屋者の農家、児玉富杢さんは今期(2022~23年期)のサトウキビを、化学肥料や薬剤をできるだけ使わず、米ぬか、魚粉などを利用した環境に優しい手づくり堆肥で育てた。夏植えで、今月7日に収穫したキビの草丈は4メートル余り(例年2~3メートル)に成長。児玉さんは「地力を高め、作物の能力を最大限に生かし、安全安心でおいしい農産物を生産したい。良かった事は情報共有し、脱炭素化を進める町全体の役にも立てれば」と話している。

 

児玉さんはマンゴーやサトウキビ、インゲンを栽培。今回手づくり堆肥で育てたキビ畑の面積は、マンゴーハウスを解体して造成した約10アール。植え付けは解体作業のために適期(8~9月)より遅れ、21年10月30日だった。品種は農林17号。

 

児玉さんが使った自家製堆肥

堆肥は原料が米ぬか、魚粉、なたね油、大豆、骨粉、もみ殻、バカス。混ぜてビニールシートをかぶせて置き、微生物によって発酵。1週間に1回ペースで計3回、ローダー(重機)を使って切り返した後、4回目の切り返しで堆舎に入れて熟成させる。

植え付け前にマンガン、鉄など微量要素も含めて土壌診断を行い、不足している成分を調査。堆肥の配合、量を調整し、同年12月に680キロを投入した。化学肥料は芽出しに40キロ投入したのみ。消毒は1回も行わなかった。

 

かん水は、夏の干ばつ時にはキビがスプリンクラーの高さを上回っていたため、できなかった。植え付け時と22年秋以降は適度な降雨があったために行わず、全期間を通してほとんどしていないという。児玉さんは「適期の植え付けとかん水ができていたら、草丈は5メートルを超えていただろう」と悔しがる。

 

収穫時の単収(10㌃当たりの収量)は7304キロ、糖度14・2度だった。

 

児玉さんは「人と同じように、作物も健康であれば病気も入らない。農家の高齢化が進む中、少ない面積で作業負担を軽減しながら、収量を増やすことにもつながるのではないか」とも話した。