自社商品、徹底分析を 海外販拡へ専門家助言 奄美黒糖焼酎

2022年10月08日

社会・経済 

「ブランディング戦略」をテーマに講話や演習などがあった「奄美黒糖焼酎海外販路拡大ワーキンググループ」の2022年度第2回会合=7日、奄美市名瀬

奄美群島内外の関係機関3者で構成する「奄美黒糖焼酎海外販路拡大ワーキンググループ(WG)」は7日、奄美市名瀬の集宴会施設で2022年度第2回会合を開いた。海外市場での商品価値を高める「ブランディング戦略」をテーマに講話や演習があり、効果的な商品PRや顧客確保につながる分析手法を共有。各蔵元、銘柄の情報を交換し、奄美黒糖焼酎全体としてのPRの方向性も探った。

 

同WGは、奄美黒糖焼酎の海外認知度向上や蔵元の人材育成・確保などを目標に掲げ、21年8月に発足。日本貿易振興機構(ジェトロ)鹿児島貿易情報センターと県酒造組合奄美支部、奄美群島広域事務組合で構成し、現在、群島内の蔵元9社が参加している。

 

7日は蔵元6社の担当者を含む10人余りが出席した。ジェトロ海外展開支援課の髙林美佐子氏が講師を務め、世界各国で商品の海外輸出支援を担った経験を基に、海外販路拡大の難しさや対策を語った。

 

黒糖焼酎の海外展開について、髙林氏は「すでに日本酒などがあり、日本産のお酒としては後発品」と指摘。加えて「思いつきや先駆他社をまねした売り方は失敗しやすい。逆に同じ商品でも見せ方、売り方の改善で売り上げを伸ばすことはできる」と助言した。

 

販路模索に役立つ分析手法として、経営環境を細かく見る「SWOT分析」や顧客像を絞り込む「ペルソナ分析」などを説明。髙林氏は「自社商品を客観的に認識し、顧客を見定めることが大切」と述べ、「生活文化が違う海外への販路確保に向け、これらの手法による分析は不可欠」と強調した。

 

講話後、各蔵元が海外展開に取り組む自社商品の特徴や開発背景などを紹介。「ラム酒に似た味わいで洋酒のプロからも評価が高い」「ラベルは奄美らしさを盛り込みつつ、現地(海外)感覚に近いデザインを採用している」など強みや売り方の工夫について情報交換した。

 

このほか、各蔵元が事前に作成・提出していた資料も踏まえた個別相談などがあり、議論を深めた。会合後、WGリーダーの泊浩伸奄美大島開運酒造常務取締役は「いま一度、自社商品を見詰め直し、販売促進の方向性を明確にする必要性を感じた」と振り返った。

同WGは22年度末までに▽海外バイヤー向けオンライン商談会とバーチャル蔵視察▽現地有力飲食店でプロモーション▽海外バイヤー招聘(しょうへい)-などを計画している。