財源負担なく売電収入 汚水処理から発電、事業締結 奄美市

2023年03月10日

社会・経済 

バイオガス発電事業の調印書に署名した安田奄美市長(右)と月島機械福岡支店の林支店長=9日、奄美市役所

奄美市と、上下水道処理など水環境処理関連の事業を展開する月島機械(本社東京都中央区)は9日、同市名瀬の汚水処理場「名瀬浄化センター」で発生する消化ガスを燃料として発電し、売電する「バイオガス発電事業」の契約を締結した。10月までに処理場内に関連施設を整備し、発電を始める計画。市の財源負担はなく、売電に伴い20年間で約5千万円の収入が見込まれる。同日、市役所で調印式があり、安田壮平市長は「捨てるモノから生み出すモノへ」と述べ、官民連携を強調した。

 

バイオガス発電は、メタン発酵させた排せつ物や汚泥などから発生する「バイオガス」を燃料にした発電手法。月島機械はこの仕組みを活用した施設の設計、建設と運営などを手掛けており、2022年度までに累計25の県や自治体と事業を締結、うち19件がすでに稼働している。

 

同社との事業締結は、県内自治体では奄美市が初めてで、新設する発電施設の整備・管理費用を月島機械が全額負担。再生エネルギーの固定価格買取制度による売電収入を同社と市で分ける。

 

名瀬浄化センターは建設から40年が経過。人口減少に伴う収入減や施設の老朽化が進み、維持管理費の財源確保が課題となっている。事業実施で、これまで焼却処分していたガスを有効活用し収入につなげられるほか、地球温暖化対策や再生可能エネルギー普及、地域の環境意識醸成などの効果も期待される。

 

調印式には、安田市長と月島機械福岡支店の林伊知郎支店長ら関係者10人余りが出席。安田市長は「厳しい経営状況が続く下水道事業の財源確保に限らず、持続可能な循環型社会の構築に資する事業。より良い生活環境の実現につなげたい」と語った。