食の多様性を推進 インバウンド増へ対応学ぶ 大島支庁でセミナー

2025年03月04日

社会・経済 

参加者らが多様な食文化に対応する方法を学んだフードダイバーシティセミナー=3日、奄美市名瀬

多様な食文化や価値観に理解を深める2024年度「フードダイバーシティセミナー」(県観光連盟など主催)が3日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。奄美大島の宿泊・飲食事業者や各自治体の観光担当者など約20人が参加。インバウンド(訪日外国人)の受け入れ体制充実へ、日本独自の食文化を生かした効果的な対応策を学んだ。

 

セミナーは、インバウンド増加に伴い、植物性食品のみを食べるベジタリアンや、イスラム教の教えに基づくハラールといった、多様な食への需要が高まることを見据えて鹿児島市で毎年実施。奄美での開催は今回が初めて。

 

講師は、多様な食に対応した企業のメニューづくりなどを支援するコンサルティング会社「フードダイバーシティ」(本社東京都)代表取締役の守護彰浩氏(41)。「基礎から分かる&今日からできる!ヴィーガン・ハラール等の多様な食文化への対応セミナー」と題して講演した。

 

守護氏は、ベジタリアンのうち、乳製品や卵も摂取しない「ビーガン」の食事の提供を推奨。宗教や信条、アレルギーなどさまざまな理由で飲食できるものに制限があるケース全般に対応できるという。

 

具体的な方法として▽野菜や穀物、発酵食品を中心とした日本食の活用▽一般の日本人客も注文しやすいような料理名で提供▽できること・できないことを明確にして客と情報共有▽メディアを使って集客│などを挙げた。

 

守護氏は「一般との違いより共通点を見て」と話し、各ケースに個別で対応するのではなく、誰にでも提供できるメニューをつくるよう助言。「一人でも該当者がいたらそれに伴い団体客を獲得できる」と利点を伝えた。