食品品薄、生活にしわ寄せ 台風11号 船便乱れ、影響長期化も

2022年09月05日

社会・経済 

船便が乱れ一部商品で品薄が続いている奄美市内のスーパー=4日、奄美市名瀬

台風11号の影響で船便の乱れが続き、奄美群島のスーパーや小売店では生鮮食品や乳製品の品薄状態が続いている。今月2日には奄美市の名瀬港佐大熊地区に貨物船が入港し、一部の店舗では牛乳やパンなど需要の高い食品の入荷もあったが、多くの店舗で8月30日を最後に入荷が止まったまま。各店とも入荷再開を今週半ばごろと見込んでいるが、影響が長期化する可能性もあり、見通しが立てられない状況だ。

 

奄美大島の多くのスーパーでは4日、野菜や牛乳、パン、豆腐、卵などの品不足が目立った。コンビニエンスストアでも空の商品棚が見られ、一部店舗では材料不足のため、店内で製造する総菜が同日から販売休止となった。

 

奄美市名瀬のスーパーを訪れた市内在住の福山侑子さん(69)はガランと空いた食品棚を前に「ここまで商品がない状態を見たのは初めて」と驚いていた。

 

同市名瀬のイオンプラザ大島店は2日の貨物船入港で食品を補充したが、乳製品やパン、大豆製品など、日常の消費量が多い商品はすぐに売り切れた。安達隆幸店次長(60)は「商品の手配に最低3日は必要だが、近年は台風の発生場所が北上しており発注時期の予想が立てにくい」と、物流の難しさにため息を漏らした。

 

「6日分の想定で仕入れた牛乳がその日のうちに売り切れた」という店も。いずみストアー=同市名瀬=の泉浩二代表(52)は「島の人は台風の情報に敏感。今回は直撃ではないが、船便の乱れが長引くことを見込んでの動きだと思う」と語った。

 

グリーンストア入船店=同市名瀬=も2日に乳製品や大豆製品、葉物野菜などを追加したが、翌日には一部で品薄となった。赤尾均店長(49)は「なるべく多くの方に商品が行きわたるよう、随時店頭に出すようにして対応している」という。

 

食料品を求めて名瀬市街地まで足を運んだという同市笠利町の堀内隆代さん(46)は「地元よりも食品が並んでいる印象。実家の買い物も一緒にしているが、数日がしのげる分を購入できた」と話した。