3連休に台風直撃 自主避難で思わぬ需要も 観光関係者は今週末に期待

2022年09月20日

社会・経済 

多くの観光客や家族連れでにぎわう予定だったマングローブ林=19日、奄美市住用町

「被害が少なくてよかったが、売り上げは厳しい」「書き入れ時なのに」-。台風14号が17日からの3連休に直撃し、多くの観光客の入り込みを期待していた奄美の観光関係者からはため息が漏れた。毎週のように接近する台風にスーパーや小売店も仕入れに苦慮している。一方、来島者の予約キャンセルが相次いだホテルは自主避難の地元住民らで満室になるなど思わぬ需要も。奄美大島の海や川のレジャーは台風通過後の19日も休業した施設が多く、事業者らは「次こそは」と23~25日の3連休に期待を寄せている。

 

奄美市名瀬の「いずみストアー」は、住民生活に長期間影響を与えた台風11号、12号の経験を踏まえ、牛乳やレトルト食品などを多めに入荷して14号接近に備えた。泉浩二代表(51)は「次に船が入るまで持ってくれれば。今月は台風が相次いで、正直商売にならない」と困った様子で話した。

 

新型コロナウイルスの観光への影響は回復の兆しが見えていただけに、連日の台風接近に関係者は肩を落とした。奄美市住用町の黒潮の森マングローブパークは台風が通過した19日も、川の増水の影響で人気のカヌーツアーを中止。稲元義人管理課長(62)は「こればかりは仕方がないが、期待していただけに残念。今週末は天候に恵まれるよう祈りたい」と話した。

 

瀬戸内町古仁屋のマリンショップ「ダンデライオン」は、海上の安全対策のため16日から19日まで営業を休んだ。祝隆之代表(32)は「船や店に物的被害がなくてよかったが、書き入れ時のキャンセルは痛手」と語り、「台風は(海水温を下げるなど)サンゴにとってはいい面もある。今週末こそはいつも通りお客さんを迎えたい」と気持ちを切り替えた。

 

奄美市内のホテルでは連休直前に旅行客らのキャンセルが相次いだ一方、台風の直撃を警戒した地元住民の需要が高まった。奄美市名瀬のビジネスホテルは17日、島内の利用客でほぼ満室に。フロント係の女性は「旅行のキャンセルは多かったが、地元の方に頑丈な建物で安心して過ごしていただけてよかった」と話した。

 

台風に翻弄(ほんろう)された3連休最終日は、気晴らしに外出を楽しむ観光客や住民の姿も見られた。16日から奄美大島を訪れている赤﨑貴寛さん(31)=福岡県=と後藤大樹さん(31)=愛知県=は、帰りの飛行機の欠航で旅程を1日延長。20日までにナイトツアーやマングローブカヌーを楽しむ予定と話し、「台風で少し残念だったが、きょうとあすで奄美を満喫したい」と笑顔を見せた。