VR技術で島の魅力発信 リピーター、滞在日数増期待 徳之島観光連盟

2020年02月25日

社会・経済 

VR機器で徳之島の秘境や観光地の映像を楽しむ観光客=22日、徳之島町亀徳新港

VR機器で徳之島の秘境や観光地の映像を楽しむ観光客=22日、徳之島町亀徳新港

 【徳之島総局】徳之島観光連盟(重田勝也会長)は2月から、バーチャルリアリティー(VR=仮想現実)技術で徳之島の秘境や観光地の映像を視聴できる体験サービスを試行している。国内最大級の海底鍾乳洞「ウンブキ」の内部やクジラと泳ぐ「ホエールスイム」など、日常生活では見ることのできない映像が楽しめるとあって、島内外の在住者を問わず好評だ。同連盟は「島の良さを知っていただき、観光客のリピーターや滞在日数が増えるきっかけとなれば」と期待を寄せている。

 

 悪天候や短い滞在期間などで、島内観光を十分楽しめない来島者に島の魅力をPRしようと、奄美群島広域事務組合の2019年度チャレンジ支援事業を活用して実施。VR機器3台と360度撮影カメラ1台を導入し、ウンブキを調査している水中カメラマンの広部俊明さん(55)などの協力を得て、昨年8月から島内各地で撮影してきた。

 

 試行期間中は主に徳之島町の亀徳新港ロビーで、定期船が寄港する朝夕の2回体験できる。機器に内蔵している動画はムシロ瀬や犬の門蓋(じょうふた)など、島内観光地を含む7種類。頭部に装着するディスプレイ装置を使い、見たい動画に焦点を当てることで各動画約1分間、360度の臨場感ある映像が楽しめる。

 

 ゼミ旅行で初めて徳之島を訪れたという上越教育大学教育学部3年の原田駿さん(21)は「クジラの映像が迫力あってすごかった。VR映像は種類がたくさんあり、いろんな人が楽しめると思う。今回は短い旅行だったが、今後は長い期間滞在してゆっくり徳之島を楽しみたいと感じた」と話した。

 

 同連盟では今後、迫力ある闘牛のシーンや島民憩いの滝「タキンシャ」なども撮影・編集し、動画本数を増やす計画。天城町の徳之島空港など、島内の複数箇所で視聴できるよう調整している。

 

 VR観光振興事業を主導する同連盟の丸山勝司事務局長(46)は「最新技術を使った徳之島発の観光PR戦略が奄美群島の各島々に波及し、群島や県内に多くの観光客を誘客する仕組みが展開できれば」と意欲をみせた。