全国大会に挑戦 大和村の舟こぎチーム丸潮漕友会 文化継承、地域活性化も目指す

2024年04月05日

スポーツ

舟こぎ用の舟で練習する丸潮漕友会のメンバー=3月29日、鹿児島県大和村の名音漁港

一つの舟に10~20人程度のこぎ手が乗り込み速さを競う「ドラゴンボート」。鹿児島県奄美大島の大和村名音を拠点に活動する舟こぎチーム「丸潮漕友会(まるしおそうゆうかい)」は、その全国大会への出場を目標に掲げる。2022年から郡体(県民体育大会大島地区大会)カヌー競技を連覇、23年奄美まつりの舟こぎ競争でも優勝して実績を積んだ。舟こぎ文化継承も掲げ、まずは4月28日に伊佐市である「ドラゴンカップ」大会優勝を目指している。

 

「1、2、3…」息の合ったかいさばきに合わせ、威勢よく掛け声がこだまする。名音漁港で午後5時半に始まる丸潮漕友会の練習風景だ。「みんな舟こぎを楽しんでいる」と話すのは同会の代表で名音在住の上村太一さん(38)。拡声器を片手に舟上の仲間にアドバイスを送る。

 

同会は18年に発足。メンバーは名音、今里、戸円、津名久、宇検村芦検と、近隣の集落から25人が集まる。ドラゴンボートの全国大会出場を目指す大人チームと、高校生、レディースの計3チームが、その日集まったメンバーで代わる代わる練習する。大人の姿を見て子どもたちも積極的に舟に乗り、会は世代をつないでいる。

 

躍進のきっかけは19年の奄美まつり舟こぎ競技の準決勝敗退だった。自信を持って挑んだだけに「もっと順位を上げられたはず」と悔しさを募らせた。以来、何も分からないところから試行錯誤で教え合ってきたという。

 

練習後は撮影した動画でミーティング。改善点を見つけるなど話し合う。毎日続く秘訣(ひけつ)は「楽しいから。(こぎ方やレース運びが)うまくなっている実感があるからだと思う」(上村さん)。年中続く練習も「大会優勝という目標があるから」と、チームは結束する。

 

ドラゴンボートは古代中国にルーツを持つ競技。伊佐市で開かれる大会では、こぎ手8人と鼓手・舵手各1人計10人の構成で直線250メートルを競う。強豪チームも参加し全国挑戦への腕試しとなる大会だ。

 

丸潮漕友会のメンバーはドラゴンボートにはまだ乗ったことがないが、上村さんは「情報を集めて対策を練っている。優勝を目指す」と自信をのぞかせる。

 

同会では名音漁港に立ち寄った観光客を舟に乗せて交流することもある。練習を見ている人に声を掛け体験した人は楽しんでいるという。結果が出ることで周りの盛り上がりもあると言い、上村さんは「地域活性化や舟こぎ継承、この流れを良い風につなげていければ」。大会上位を目指す過程で地元に貢献する未来も見据えている。