安全意識、技術共有図る 沖永良部島で九州洞窟談話会 島の自然、文化への理解も

2024年03月13日

自然・気象

沖永良部島の自然環境や歴史、文化などへの理解を深めた講演会=11日、知名町

主に九州地域で活動するケイバーを対象とした第11回九州洞窟談話会(日本洞窟学会洞窟救助委員会主催)は11日から13日までの日程で、沖永良部島で行われている。学生を中心に全国各地の洞窟探検を行うケイバー約40人が参加。座談会、講演会、安全講習、訓練を通じて、洞窟探検での安全意識や技術向上を図るとともに、同島の洞窟への理解を深めている。

 

洞窟学、洞窟探検意識の向上、各団体の関係構築などを目的に毎年この時期に開かれており、沖永良部島では3回目。今回は新型コロナウイルスの影響で2019年以来の開催となった。

 

11日は知名町の中央公民館で座談会があり、コロナ禍の活動停滞期に失われたノウハウや活動する上での問題点について参加者間で共有。後半は同洞窟救助委員会委員長で山口県・美祢市教育委員会文化財保護課特別専門員の村上崇史さんと、日本島嶼学会会員で知名町教育委員会の前利潔さんが講演した。

 

村上さんは沖永良部島の地形について「隆起サンゴ礁で形成されたカルスト地形。数十万年かけての隆起と、氷期、間氷期の海水準変動(海水面変動)により海に沈んだカルストと、陸のカルストが一体化している」などと解説。前利さんは歴史、文化の視点から「琉球文化圏の北限の島」として島の特徴を紹介した。

 

12日は同公民館で沖永良部与論地区広域事務組合消防本部の職員を講師に応急処置講習、午後からは洞窟用担架を使った搬送練習などがあった。13日は知名町の水連洞に入洞し、洞窟救助訓練を行う予定。

 

村上さんは「洞窟内は日常と違う環境でけがのリスクが高く、自分たちしかいない中で安全管理能力が問われる。談話会を通して横のつながりをつくり、技術や意識を共有することでレベルの底上げをしたい。沖永良部島は鍾乳石の美しさや洞内空間の大きさなど全国でもトップクラス。会場とすることで島への理解も深められれば」と話した。