生息域拡大、伊仙町でも確認 特定外来生物シロアゴガエル 環境保護団体らが駆除活動 徳之島

2023年06月13日

自然・気象

卵塊を回収する徳之島虹の会のメンバー=12日、徳之島町亀徳

【徳之島総局】5月に徳之島町で初めて確認された特定外来生物「シロアゴガエル」の駆除活動が島内で広がっている。環境保護団体「徳之島虹の会」は12日、徳之島町亀徳の沈砂池で行った駆除作業では卵の塊15個を回収した。対策が取られる一方で伊仙町でも成体や卵が見つかるなど生息確認地域も拡大しており、関係者は既に相当数の個体が繁殖している恐れがあると警戒している。

 

シロアゴガエルは東南アジア原産で体長は5~7センチ。背面が茶褐色や黄みがかった色をしており、脚が長く細長い体つきが特徴。繁殖期は4~10月で直径5~8センチのクリーム色をしたメレンゲ状の卵塊(泡巣)を水場近くの木の枝やコンクリート壁面などに産み付ける。県内では2013年に与論島で初めて確認され、19年には与論島の全域に拡大した。

 

仕掛けに産み付けられたシロアゴガエルの卵塊

5月には徳之島町の徳和瀬、諸田、井之川の3地区で成体と卵塊を確認したが、その後の調査で新たに伊仙町の喜念、目手久の4カ所でも繁殖が確認された。環境省徳之島管理官事務所によると、6月9日現在、天城町での確認はないという。

 

徳之島虹の会は島内26カ所の水場に植物の枝や葉を仕掛け、産み付けられた卵塊を回収している。同会の美延睦美理事長は「一つの卵塊に200~400個の卵が入っており、3~4日でふ化するので仕掛けは毎日チェックする必要がある。既に相当数の成体や卵を回収しており深刻な状況」と危機感を示した。

 

環境省徳之島管理官事務所の田口知宏国立公園管理官は「現段階ではどの程度生息が広がっているかは判断できないので今後も調査を継続する」と現状を説明し、「産卵を防ぐため屋外に不必要なたまり水をつくらないのも有効。外来種対策は地域住民の目が重要なので鳴き声にも注意して成体や卵を見つけたら連絡してほしい」と協力を呼び掛けた。

 

シロアゴガエルの目撃情報は電話0997(85)2919環境所徳之島管理官事務所へ。