自然利用に規制ルールを 世界遺産候補地保全・活用検討会=奄美大島

2018年03月16日

自然・気象

利用ルール実証実験の結果などが示された自然利用部会=15日、奄美市名瀬

利用ルール実証実験の結果などが示された自然利用部会=15日、奄美市名瀬

 奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会の自然利用と公共事業の両部会が15日、奄美市名瀬の県大島支庁会議室であった。自然利用部会では今年2月16~22日に同市名瀬の金作原国有林周辺で行った利用ルールの実証実験について意見交換。出席者は法律か条例に基づいた規制ルールづくりの必要性を強調。県がルート設定を進めている「世界自然遺産 奄美トレイル」に関しては、利用者の安全確保などの面から山岳地を中心としたコースの適正な維持管理を求める声があった。

 

 自然利用部会には島内市町村の担当職員や自然・環境保護団体、観光関係者など約40人が出席した。

 

 実証実験は、金作原林道に接続する市道奄美中央線など約9・3キロで実施した。知名瀬集落から金作原に向かう車に対し、登録ガイドの車両やバスなど39台を除く一般車15台に乗り入れ自粛を要請。8台は引き返したが、7台は「(実験の)趣旨は理解できるが、せっかく来たのでどうしても行きたい」などとしてそのまま通行したという。

 

 自粛要請に強制力はなく「お願い」との立場。出席者からは「『お願い』では対応できない状況が今後出てくる。法律か条例に基づく規制のルールづくりが必要」との声があり、県も理解を示した。実験結果については、22日に開く利用適正化連絡会議で検証する。

 

 奄美トレイルについては、山中の古道を含めたコース設定がされており、トイレなどの設置や安全確保策を置き去りにしたままでの利用開始を疑問視する声もあった。

 

 公共事業部会には約50人が出席。環境配慮指針(アドバイザー制度)の実施結果が報告され、外来種対策では「作業の手引書」への記載や、集落付近での事業への配慮では、文化的な資源把握に向け住民への聞き取りなどの対応策が示された。