金作原 来年2月、利用ルール導入へ 奄美大島

2018年12月27日

自然・気象

奄美大島を代表する自然観察スポットとして多くの人が訪れる金作原=奄美大島

奄美大島を代表する自然観察スポットとして多くの人が訪れる金作原=奄美大島

 奄美大島利用適正化連絡会議の会合が25日、奄美市名瀬の県大島支庁会議室であった。関係者ら約40人が出席。世界自然遺産登録による観光客の増加を見据えて、金作原国有林(同市名瀬)の利用者にガイドの同行を求める自主ルールの試行を来年2月に開始することを申し合わせた。車両台数や利用人数に上限を設ける。将来的には法令に基づく規制の導入や、国有林への主要ルートで車両規制を行うなど対策の強化を図る方針だ。

 

 金作原一帯は天然の亜熱帯照葉樹の森に多様な動植物が生息・生育し、奄美・沖縄の世界自然遺産の候補地となっている。国有林内を横断する金作原林道は、市街地からも近く、奄美大島を代表する自然観察スポットとして知られ、訪れる観光客は年々増加している。

 

 会議は環境省、林野庁、県、奄美市、民間団体などで昨年2月に設置。金作原の自然環境の保全と、質の高い自然体験の提供を目的に、利用ルールの導入に向けた検討を行っている。

 

 今年2月には一般車両の通行規制や利用者にガイドの同行を求める実証実験を実施。夏ごろに利用ルールの試行開始を計画していたが、奄美・沖縄の世界自然遺産登録の延期を受けて、基本的なルールの見直しを図るため試行を先送りした。

 

 新たな自主ルールでは、利用者に奄美群島エコツーリズム推進協議会の認定ガイドの同行を求める。団体ツアーの貸し切りバスには猶予期間を設け、来年10月から同じくガイドの同行を義務化する。バスには林道入り口から約1・5㌔離れた主要ルート上の交差点で、ガイドの車両への乗り換えを推奨する。

 

 同時間帯に利用するガイド車両は8台以下、バスは2台以下に制限し、利用時間は120分以内、ガイド1人当たりの案内人数は15人までとした。ルールの導入で主要ルートの混雑は回避されるため、一般車両の通行規制は行わない。

 

 2月27日に試行を開始する。今後はエコツーリズム推進法による条例制定などによって、認定ガイドのツアーのみに金作原の利用を制限することや、主要ルート上に駐車場を整備し、林道入り口までの一定区間を徒歩のみとするなど、ルールの強化策を検討する。

 

 出席者からは世界自然遺産登録前に厳格なルールを確立することや、公的機関による利用窓口の開設を要望する声があった。

 

 事務局を務める県自然保護課の大西千代子・奄美世界自然遺産登録推進室長は「やってみると不具合は出てくると思う。関係者と意見交換しながら、奄美の観光の実態に応じたルールをつくっていきたい」と述べた。