7月から捕獲開始 奄美ノネコセンター

2018年06月21日

7月に運用を開始する奄美ノネコセンターの収容室=20日、奄美市名瀬

7月に運用を開始する奄美ノネコセンターの収容室=20日、奄美市名瀬

  奄美大島の山中で希少動物を襲って生態系を脅かす野生化した猫(ノネコ)の捕獲が7月中旬に始まる。捕獲したノネコを一時収容する施設「奄美ノネコセンター」(奄美市名瀬)が20日、報道関係者に公開された。収容数は約50匹。収容した猫は島内外から募った希望者に譲渡し、引き取り手が見つからない場合は1週間をめどに安楽死させる。施設を運営する奄美大島ねこ対策協議会は「猫の譲渡に最大限取り組む。関係機関が連携して希少種保全を着実に進めたい」としている。

 

 奄美ノネコセンターは2017年度、島内5市町村でつくる同協議会が県の地域振興推進事業で旧県立大島工業高校敷地内の職員住宅を改修して整備した。改修費は1486万6千円。建物はコンクリートブロック造り2階建て、延べ床面積約107平方㍍。3月末に完成した。

 

 施設は1階部分の収容室2部屋に50匹分の飼育かごを配置。2階に血液検査などを行う処置室や事務室を備えた。同協議会が雇用した臨時職員3人が交代で猫の世話をする。18年度の運営費(人件費、餌代など)1460万円は5市町村が負担する。

 

 ノネコの捕獲は環境省が担う。希少な野生生物が多く生息する山中に生け捕り用のかごわな100基を設置。毎日点検してノネコの捕獲状況を確認する。18年度は月間30匹、計270匹の捕獲を計画。周辺に自動撮影カメラを設置し、ノネコの分布や希少種の回復状況を確認するモニタリング調査を行う。

 

 ノネコの捕獲に先立ち、同協議会は譲渡を希望する個人、団体の募集を14日に開始した。室内飼いやマイクロチップの装着、不妊手術などが条件。これまでに島内外の個人、団体から10件の問い合わせがあり、うち1件の申請があった。

 

 同協議会長を務める平田博行奄美市環境対策課長は「関心を持つ人がもっと増えてほしい。しっかり受け入れの準備ができる人にお願いしたい」と話した。

 

 環境省と県、島内5市町村は今年3月、18年度から10年間のノネコの管理計画を策定。計画にはノネコの捕獲のほか、ノネコの元になる野良猫の抑制や飼い猫の適正飼養などの対策も盛り込んだ。

 

 環境省奄美自然保護官事務所の岩本千鶴自然保護官は「島の生態系を守るために、山からノネコを排除するとともに、発生源対策も進めたい」と述べた。