「与論島の芭蕉布製造技術」が国指定重文に

イトバショウの繊維をつないで糸を作る、与論民俗村の菊千代さん(右)と友子さん=12日、与論町

イトバショウの繊維をつないで糸を作る、与論民俗村の菊千代さん(右)と友子さん=12日、与論町

 国の文化審議会(佐藤信会長)は17日、「与論島の芭蕉布製造技術」など新たに6件を、重要無形民俗文化財に指定するよう萩生田光一文部科学相に答申した。3月中に指定される予定で、これを含む県内の国指定重要無形民俗文化財は11件となる。奄美では同じく与論町の「与論十五夜踊」と瀬戸内町加計呂麻島の「諸鈍シバヤ」、龍郷町の「秋名のアラセツ行事」に次いで4件目となる。

 

 芭蕉布はイトバショウの繊維を原材料とした織物。風通しが良く軽くてサラリとした肌触りで、亜熱帯気候に適した着物として昔から着用されてきた。

 

 与論島の芭蕉布製造技術の特色として、原材料であるイトバショウの栽培から繊維取り、糸作り、織り上げるまでの全ての工程を手作業で行っており、一連の工程に伝統的な技術が維持されている。織り機など製造に使われる道具も昔ながらの物を利用している。

 

 国の文化審議会文化財分科会は「奄美群島の衣生活を理解する上で不可欠な技術継承であり、国内の衣料の変遷や染織文化の地域差を考える上でも重要」としている。

 与論島芭蕉布保存会の菊秀史会長(62)は「島の祖先から何百年も受け継がれてきた芭蕉布の製造を絶やさないよう決意して語呂がいい昭和55年(1980年)5月に芭蕉布保存会を結成し、地道に活動を続けてきた。(答申は)感慨深く大変うれしい」と喜んだ。

 

 与論島では現在、菊さんが家族で経営する与論民俗村でのみ芭蕉布の製造が続いている。うち繊維取りから織りの工程を担っているのは菊さんの母・千代さん(92)と、妻・友子さん(56)だけだ。

 

 重要な文化財の次世代への継承と、価値ある地域資源として観光など各分野への利用拡大が今後の課題となる。

 

 同町の町岡光弘教育長(67)は「芭蕉布製造の継承は重要な課題で、まずはその素晴らしい価値を町民や観光客を含む多くの人に知ってもらうことが大事。民俗村をはじめ町文化財保護審議会委員や観光協会などとも協力しながら、芭蕉布の活用と継承に取り組んでいきたい」と語った。

 

 与論民俗村では、糸作りなどの芭蕉布製造体験も実施している。今後は施設内で芭蕉布の全行程が見られる映像を流したり、体験内容をより充実させるなど、芭蕉布のPRに力を入れたい考え。