加計呂麻島でイノシシ被害深刻

イノシシの食害があったキビ畑=10日、瀬戸内町加計呂麻島

イノシシの食害があったキビ畑=10日、瀬戸内町加計呂麻島

 瀬戸内町加計呂麻島でイノシシの被害が深刻化している。畑では、イノシシがサトウキビやイモなど農作物を食い荒らす被害が多発。各地で民家の庭や校庭の芝生が掘り返されている。住民は柵や網、トタンなどで侵入を防ぐ努力をしているが、対策が追い付いていない状況だ。

 

 黒糖やきび酢を製造、販売している佐知克集落の西田製糖工場では、約3ヘクタールの畑で原料用のサトウキビを栽培。イノシシ被害は7月ごろからひどくなったという。周囲に巡らせた金網の隙間から複数のイノシシが侵入。金網を押し曲げて畑内に入るイノシシもおり、これまでに全面積の10分の1ほどのキビを食べられた。

 

 同工場の竹村明美さん(59)は「今年は特に被害がひどい。毎朝5時半から見回りをし、トタンや目の細かい網を買って隙間を埋めているが、追い付かない。これからキビの糖度も上がってきたら、そのおいしさを知るイノシシたちがさらに入って来ようとする。12月の収穫まであと3カ月も闘わなければならないのか」と疲れた様子だった。

 

 伊子茂小中学校では、7月下旬から8月中旬にかけてイノシシが複数回侵入し、約220平方メートルの芝生を回復不能な状態まで掘り返される被害に遭った。町や猟友会に対策を依頼。今月3日までに集落内で3頭のイノシシが捕獲され、その後の被害はないという。

 

 荒らされた芝生は、22日の運動会に支障を来さないよう、全て取り去った。櫻井登校長は「校区住民も自慢にしている芝生。できれば元の形にしたいが、多額な費用がかかる」と頭を抱えていた。

 

 町農林課によると、イノシシ被害は同島だけでなく、奄美大島側でも問題となっている。有害鳥獣を捕獲することのできる4~10月の期間、2018年度は町全体で133頭、うち加計呂麻島で58頭を捕獲した。本年度は8月末現在で、町全体161頭、うち加計呂麻島89頭と昨年度を上回るペースとなっている。

 

 町は本年度も一般会計予算で鳥獣被害対策実践事業費635万円を計上し、捕獲や柵の設置を進めているが、被害は収まっていない。町農林課の担当者は、被害が拡大している理由について、「山にシイの実などイノシシの食べ物が不足しているのではないか」と推測。「対策の基本は畑や集落周囲の草などを刈り、イノシシを寄せ付けないこと。今後はICT(情報通信技術)を活用した捕獲作戦なども考えたい」としている。

伊子茂集落で捕獲されたイノシシ(提供写真)

伊子茂集落で捕獲されたイノシシ(提供写真)