見えない収束に不安の声 感染確認から1週間 徳之島

2020年12月10日

地域

感染確認から1週間が経過した徳之島。外出自粛要請もあり、車や人の通りもまばらな徳之島町亀津の市街地=9日

感染確認から1週間が経過した徳之島。外出自粛要請もあり、車や人の通りもまばらな徳之島町亀津の市街地=9日

 県が徳之島町で新型コロナウイルスの感染者が確認されたと2日に発表してから、9日で1週間が経過した。9日には県が徳之島全体を一つのクラスター(感染者集団)と判断するなど感染者は伊仙町、天城町にも広がり、同日現在、徳之島町42人、伊仙町11人、天城町1人となった。島内では飲食店や小売店などの一部店舗で臨時休業や時短営業を余儀なくされ、学校も休業するなど住民生活にも影響が出始めており、収束の兆しが見えない現状に不安の声が上がっている。

 

 重症化しやすい高齢者が会員の徳之島町高齢者クラブ連合会の赤崎冨千郎事務局長(79)は「無症状の隠れた感染者がどこにいるか分からないので不安は大きい。感染対策は外出しないのが一番だが、家にこもってばかりでは健康にもよくない。会員には自宅でできる運動を推奨して、元気に過ごしてもらうしかない」と話す。

 

 島内では従業員が感染したり、感染者と濃厚接触したりしたため臨時休業する大型スーパーや飲食店が増えている。町地域女性団体連絡協議会の米良洋子会長(77)は「私たち女性は食事の準備で買い物するために外出は避けられない。感染者の立ち寄った場所などの情報が分かれば、近寄らないなどの対策もできるのに」と困り顔だ。

 

 8日の徳之島町に続き、9日は伊仙町でも学校に通う児童生徒の感染が確認され、休業措置が取られる学校も出てきている。徳之島町校長会会長で亀津小の狩集淳校長(56)は「親族が濃厚接触者になり、体調不良で休んでいる児童もいる。ここまで感染が広がると、誰もが感染する可能性がある。感染者を出さない対策の継続はもちろん、感染者が出た場合は心のケアを徹底し、感染した人を責めずに受け入れる機運を醸成しないといけない」と語った。

 

 伊仙町の感染者も増加傾向にあり、介護や福祉現場への影響も懸念される。町内では徳之島町での感染確認直後から、デイサービスやデイケアなど通所のサービスを停止。必要に応じて在宅の訪問介護に切り替え、介護・福祉施設への人の流れを制限して感染防止対策に努めている。

 

 伊仙町社会福祉協議会の幸多実会長(65)は「無症状の感染者が多く、介護・福祉の現場にも危機が迫っていると感じている。サービス利用者の日常生活や健康を守るため、今後介護・福祉の事業所で感染者が出た場合は、事業所の垣根を超え互いにカバーし合うことで難局を乗り越えたい」と力を込めた。