需要堅調、物件登録は伸び悩み 奄美市、空き家バンク制度7年

2022年05月20日

政治・行政

奄美市空き家バンクに現在登録されている名瀬地区の物件(提供写真)

奄美市の空き家バンクが7月で制度開始から7年を迎える。貸したい・売りたい所有者と、住宅を探している移住希望者らが空き家バンクに登録することで、空き家の有効活用や移住促進につなげようという取り組み。制度を通じ、これまでに市内の空き家33件の賃貸・売買契約につながった一方、年々高まる住宅需要に対し、空き家バンクへの登録物件数は伸び悩んでいる。制度や関連事業の周知など、空き家所有者への情報発信などが課題となっている。

 

■契約33件

 

奄美市空き家バンク制度は2015年スタート。空き家所有者から登録申し出を受けると、市と県宅地建物取引業協会奄美支部が連携・協力して現地調査を実施。使用可能と判断された物件は登録を受け付ける。

 

登録物件は、市のホームページに掲載し、移住希望者らに周知。物件交渉と賃貸・売買契約などは空き家利用希望者と、宅建協会指定の不動産業者が直接行う仕組み。

 

市プロジェクト推進課によると、制度施行から17日現在までの空き家バンク登録物件は35件。直近2件を除く、33件が契約につながった。

 

■実態調査

 

一方、借りたい・買いたい側の利用登録者は、18年度13件、19年度30件、20年度30件、21年度43件。世界自然遺産登録などを追い風に、奄美への注目度が高まる中、登録者も年々増えている。

 

奄美市は市内の空き家状況の把握や、活用の可能性を探るため、19年度に空き家の実態調査を実施。その結果、空き家などの可能性がある建物が1049件確認された。地区別は名瀬639件、住用91件、笠利289件。

 

公道から外観を確認できない建物(30件)を除いた1019件の建物の状態は、「良好で活用可能」が225件。「活用には一部修繕が必要」が411件、「廃屋など周囲に危険を及ぼす可能性がある」が383件だった。

 

■特措法改正

 

21年度に空き家対策特措法が改正され、空き家の調査や、所有者の特定がよりしやすくなったことを受け、市は今年度、空き家実態調査結果などを基に、所有者への情報提供にも力を入れたい考え。住宅購入費助成金や、住宅リフォーム等助成金などの関連事業も積極的にPRする。

 

プロジェクト推進課の担当者は「これまではやや『待ちの姿勢』だったが、今後は所有者へのアプローチなど積極的な情報発信で、制度の活用を推進していきたい」としている。