与論高生徒が身近な水を分析 東大サイエンスキャンプ

2022年08月14日

子ども・教育

最先端の技術を用いた研究内容を見学する生徒ら(左)=4日、千葉県柏市の東大大気海洋研究所

与論高校と与論町海洋教育推進協議会は8月上旬、千葉県柏市の東京大学大気海洋研究所が主催した夏期集中サイエンスキャンプに参加した。最先端の科学研究の体験で得られた知見や経験を与論島全体にフィードバックすることが目的で、与論高校2年生6人が参加。与論島の地下水や水道水、海水などの成分測定や分析作業を体験し、人の生活が水資源や海洋環境に与える影響などについて考察、発表した。

 

サイエンスキャンプは8月2~4の3日間、同研究所で実施。「身近な水を化学する!」をテーマに掲げた。分析した水は、今年7月に与論島の複数地点で採取した海水や地下水、水道水、黒糖焼酎の蒸留廃液など。同研究所の誘導プラズマ発光分析装置を使用し、元素や濃度を測定した。

 

参加した生徒らは自身の仮説に基づき、2班に分かれてデータを検証。4日にあった結果発表会では、与論高校、与論町役場、同町海洋教育推進協議会に結果をオンラインで報告した。

 

「与論の水と人間活動」について検証した永野海璃さん、大里碧さん、有村一花さんのグループは、日焼け止めに含まれる成分が与論島の沿岸にも広く分布するサンゴに与える影響を考察。確定的な結果は得られなかったものの、同研究所は「世界の第一線で活躍する研究者が取り組んでいる難しいテーマ」とした上で、地域に密着した課題に着眼した取り組みを高く評価した。

 

竹野莉萌さん、竹内詩帆さん、吉田小梅さんのグループは「与論島の『今』を知る」をテーマに考察。島内の複数の地点で採取した地下水と地質図を照らし合わせ、土が流出しやすい東側ではリン(P)の濃度が高くなっており、肥料が流れ出している可能性を示唆した。吉田さんは「考察で壁にあたったものの、アドバイスにより打破することが出来た。進路を考える上で貴重な体験となった」と振り返った。

 

サイエンスキャンプへの与論高校の参加は、今回が初めて。指導にあたった同研究所の横山祐典教授は「得た知見や経験を島に持ち帰り、次のステップにつなげ、循環させてほしい。楽しみながら取り組むことも忘れずに」と述べ、参加した生徒らの探求心向上に期待した。