持続可能な地域へ情報共有 循環型モデル支援事業報告会 県大島支庁
2025年03月21日
政治・行政

オンラインで事例を発表した持続可能な循環型モデル支援事業報告会=18日
県大島支庁が2022年度から実施してきた「持続可能な循環型モデル支援事業」の報告会が18日、オンラインであった。事業を受託した6団体が、農業や観光など各分野で取り組んだモデル事業の成果や課題を事例発表し、地域課題解決に向けた取り組みを情報共有した。
同事業は、地域資源を生かした循環型モデル事業の創出を通じ、「暮らしやすい地域形成」を図ることを目的に実施。22年度からの3年間で15団体が受託した。今回の報告会は奄美稲作保存会、NPO法人喜界島サンゴ研究所、しまのみなと、NPO法人TAMASU、E’more秋名、おきのえらぶ島観光協会が発表した。
おきのえらぶ島観光協会は24年度、島内の各集落と協働で生活文化を保全する「世間遺産登録」に取り組んだ。世間遺産に認定した9スポット周辺に看板を設置し、QRコードから遺産情報を閲覧できるよう協会ウェブサイトに遺産の特集ページを開設し、ガイドマップ2千部も制作した。西温子事務局長は「事業を契機に住民の当事者意識が醸成され、観光協会と距離感も縮まった」と報告した。
奄美稲作保存会は、耕作放棄地の増加で機能が低下しつつある農業用水路の再生に着手した。先進地研修や専門家の指導による水路改修を行い、23年10月には生物多様性の保全に取り組む団体として、環境省の「自然共生サイト」にも認定された。小池弘章代表理事は「こんなに高い評価を受ける水田や稲作文化だからこそ、未来に残していきたい」と述べた。
喜界島サンゴ研究所はサンゴ礁文化の普及などを目的に、集落マルシェや保存活用ワークショップなどを実施。しまのみなとは地域人材を育成するサマーキャンプや離島留学プロモーションを展開した。
E’more秋名は地域内外の人材や資源をつなぎ、地域づくりを支援する「地域コーディネーター」の養成講座を開講。TAMASUは観光と集落の暮らしの両立を図るために制定した大和村国直集落独自のローカルルールの評価や改善、周知に取り組んだ。