眞久慈トンネル供用開始 利便性向上、産業振興に期待 瀬戸内町

2025年03月23日

社会・経済 

テープカット、くす玉開きで眞久慈トンネル供用開始を祝う関係者ら=22日午前11時35分ごろ、瀬戸内町古志

瀬戸内町古志・浦集落と久慈集落を結ぶ県道名瀬瀬戸内線伊目工区「眞久慈(まくじ)トンネル」(延長326メートル)が22日、供用開始された。同日、現地で開通式と祝賀会があり、関係者らはトンネル開通を祝うとともに、安全で円滑な交通網の確保による生活の利便性向上や産業振興にも期待を寄せた。

 

古志地区と久慈地区を結ぶ従来の道路は防災点検危険箇所が複数存在する。幅員が狭く、豪雨時には土砂崩れによる通行止めも発生することから、緊急時の交通ネットワークと防災体制の強化を目的に、2013年度から同トンネルを含む総延長1キロメートルの区間で、車道拡幅などの工事を進めてきた。

 

古志側約300メートルは21年度までに改良済み。同トンネル本体工事は22年1月に着手して、23年7月に本体工事が完了した。その後、舗装や照明などを整備し、同トンネルと伊目側の道路改良区間約100メートルを合わせた延長422メートルが今回、供用開始となった。従来の道路と比べ、距離は約770メートル短縮される。総事業費は約28億円で、トンネル工事は約16億円。

 

供用開始を前に午前11時から、同トンネル古志側坑口で安全祈願祭、開通式があり、同町や県、工事関係者ら約90人が出席した。三反園訓衆院議員、松藤啓介県大島支庁長、鎌田愛人瀬戸内町長、地元選出県議らがテープカットとくす玉開きで開通を祝い、徒歩で通り初めを行った。

 

正午すぎから旧久慈小中学校で祝賀会があり、鎌田町長は「供用開始により沿線住民の安全安心や利便性の向上、産業の活性化、救急搬送や医療活動の安定性、迅速性の確保など多くの効果が見込まれる」とあいさつ。松藤支庁長は「県として主要幹線道路の整備で人や物の交流を支える交通ネットワークの形成を進め、誰もが安心して暮らし活躍できる奄美大島地域の実現に取り組む」と述べた。

 

供用開始され、車両が通行する眞久慈トンネル=22日午後1時、同町伊目

午後1時に一般への供用が開始されると、開通を待ちわびた車が通行した。久慈集落の武田政文区長(81)は「急患が発生した場合など、救急時の交通ネットワーク強化が一番のメリット。大雨などで道路が崩れる心配もなくなり安心」と話した。

 

県によると、伊目側約280メートルの未整備区間についても整備を継続するが、供用開始時期は未定としている。