シマ歩きで魅力を体感 5市町村で体験ツアー 奄美大島自然保護協議会
2025年03月24日
地域

シマ歩きなどを通して集落の魅力を体感したツアーの参加者ら=23日、大和村
シマ(集落)歩きを通してその土地ならではの魅力を体感する「暮らし感じる自然体験ツアー2025」(奄美大島自然保護協議会主催)の最終日が23日、大和村であった。村内外から20人が参加。地域をよく知る「シマ案内人」と共に集落を歩いて回り、地域の歴史や特徴、暮らしの知恵などを楽しみながら学んだ。
奄美大島の豊かな自然と人々の暮らしを知ってもらおうと一般社団法人「巡めぐる恵めぐる」が企画し、今回で3年目。今年は2月23日の奄美市笠利町を皮切りに、龍郷町、宇検村、瀬戸内町、奄美市住用町と大和村の6カ所で実施し、延べ105人が参加した。
大和村のツアーは大和村教育委員会の高梨修学芸員(64)とJAあまみ大島本部果樹部会の大海昌平会長(69)を案内人に、大和浜集落の散策からスタート。カミ山である「タキノコ山」とその山裾にあるトネヤ跡、集落の旧家である和(にぎ)家、太(ふとり)家跡などを見て回った。
碁盤の目のように道路が整備された同集落について高梨学芸員は「薩摩藩時代に代官がいた奄美市笠利町の赤木名地区以外では見られない方形区画街路」と指摘。薩摩藩守衛方として大和浜に置かれた桂久武が海外からの防衛を見据えて軍事訓練などを行っていたことなどを紹介し「シマの歴史をひもとくと幕末の日本の姿が見えてくるかも」と語った。
散策の後は村防災センターに移動。江戸時代中期に活躍した奄美大島の「開拓王」田畑佐文仁が開いた同村福元の地形や気象などの特徴を学んだ。福元でタンカン栽培を行っている大海会長は、天然記念物のアマミノクロウサギやケナガネズミなどによる食害が近年発生していることに触れ、「奄美は人間の経済圏と野生動物の生息地が接近した土地。生き物との共生をしっかりと考えなければいけない」などと語った。
奄美市名瀬から参加した森美佐子さん(77)は「身近にあっても実は知らないことが多い。歴史のことも地形のことも生き物のこともみんな面白かった」と話していた。