先進地の事例を共有 オーバーツーリズム対策など 観光の在り方で報告会 瀬戸内町

2025年04月11日

社会・経済 

有志6人がオーバーツーリズム対策など学んだ内容を共有した研修報告会=8日、瀬戸内町古仁屋

八重山研修報告会「しぜん・いきもの・わたしたち~みんなが心地よい町づくりのために~」(日本自然保護協会主催)が8日夜、瀬戸内町の町立図書館・郷土館であった。オンラインを含め約50人が参加。奄美大島、加計呂麻島在住の有志6人(5組)が沖縄県八重山諸島の西表島、石垣島に行き学んだオーバーツーリズム対策などを共有し、暮らしやすい町の姿や観光の在り方について考えた。

 

研修は2月26日から3月1日にあり、西表島では観光客の増加が地域の自然や住民生活に悪影響を及ぼすオーバーツーリズム対策を、石垣島では観光において地域社会の思いや来訪者の体験を重視して地域の魅力や価値を伝える「インタープリテーション」と呼ばれる概念について学んだ。

 

奄美大島と同じタイミングで世界自然遺産に登録された西表島では、ピナイサーラの滝など五つのフィールドが法に基づく特定自然観光資源に指定され、今年3月から1日当たりの利用人数制限があることや、ピナイサーラの滝では携帯トイレの配布があり、回収ボックスも設置されていることなどが紹介された。

 

また、西表島の固有種イリオモテヤマネコの目撃情報とともに安全運転を促すアナウンスがレンタカーに搭載された装置から流れる事例や、漂着ごみ問題の啓発のために海岸清掃がツアーになっている事例の紹介もあった。

 

研修参加者の1人、奄美せとうち観光協会の祝隆之副代表理事は瀬戸内町の取り組みや課題を紹介。奄美大島と同町加計呂麻島を結ぶ海上タクシーについて、観光利用の増加により、地元住民が乗れないケースがあることや、定員(満席)になり次第出発する運用を知らない人が多いことを課題として、協会のホームページで注意喚起していることなどを伝えた。

 

道が狭く、山道や急カーブが多い加計呂麻島ではレンタカー事故も目立つと言い、発表後の議論では会場参加者から、集落内に観光客らが押し寄せることに不安を持つ住民の声も紹介された。

 

参加した瀬戸内町の保岡海斗さんは「外の取り組みを学ぶことで奄美のことを相対的に見ることできる。奄美に取り入れたい話が多かった。衣服や靴に付着した外来植物の種子を保全エリアに持ち込まない対策も課題になると思う」と話した。