徳之島でロードキル過去最多 アマミノクロウサギ42件 2024年・環境省
2025年05月05日
政治・行政

トンネル出入り口付近で交通事故死したアマミノクロウサギ(環境省提供)
環境省は2日、奄美大島と徳之島で2024年に確認された希少哺乳類4種の死骸数と死因の内訳を発表した。国の特別天然記念物アマミノクロウサギの死骸数は両島で計242件(奄美大島177件、徳之島65件)。内訳は交通事故死(ロードキル)が最も多く、奄美大島で121件(前年比26件減)、徳之島で42件(前年比14件増)だった。徳之島は22年の41件を超え過去最多。
環境省では希少な野生動物の生息に影響を及ぼす要因の把握や保護対策への活用を目的に、野生動物の死骸や傷病救護の情報を収集、分析している。対象はクロウサギのほか、ケナガネズミ、アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミで、いずれも国の天然記念物。
クロウサギ以外の死骸確認数は、ケナガネズミ103件(奄美大島92件、徳之島11件)、アマミトゲネズミ13件(奄美大島)、トクノシマトゲネズミ5件(徳之島)で、いずれも前年から減少した。
アマミトゲネズミを除く3種の死因はロードキルが最も多く、特に事故が発生している場所は奄美大島では▽県道79号(大金久~今里間)▽国道58号(役勝トンネル~網野子トンネルの区間、三太郎トンネル前後)▽県道85号湯湾新村線▽湯湾岳周辺の林道▽町道網野子峠線・嘉徳線―など。徳之島では▽県道618号松原轟線▽当部集落周辺―など。
交通事故のほか、死骸の状態などから判定したイヌやネコによる捕殺事例がアマミノクロウサギ23件、ケナガネズミ3件、アマミトゲネズミ6件、トクノシマトゲネズミ2件あった。同省では、これらは車道での死骸回収が中心で「実際の捕殺頭数のごく一部を示したものにすぎない」としている。
また近年は、生息個体数の増加に伴い、希少種が建物に迷い込んだり、外来種クマネズミ用の捕獲器などで誤って捕獲されたりする事例があるという。同省によると、ロードキルを含め故意による捕獲や殺傷でなければ罪に問われることはなく、死骸やけがをした個体を見つけた場合は速やかに、同省奄美野生生物保護センター電話0997(55)8620や同省徳之島管理官事務所電話0997(85)2919に連絡するよう呼び掛けている。