適切な支援の在り方学ぶ 奄美市不登校対策プロジェクト始動 生徒指導主任らが研修
2025年05月08日
子ども・教育

不登校対策プロジェクトの一環として行われた奄美市生徒指導主任等研修会=7日、同市名瀬
2025年度第1回奄美市生徒指導主任等研修会(市教育委員会主催)が7日、同市名瀬の奄美川商ホールであった。市教委が今年度から取り組む不登校対策事業の一環として、関連する研修を兼ねて実施。市内の小、中学校28校から生徒指導主任と教頭ら計53人が参加し、専門家による講演を通じて適切な再登校支援の在り方を学んだ。
市教委によると、不登校の児童生徒は全国的に増加傾向にあり、同市では24年度、年間30日以上の長期欠席者が計230人(うち不登校は131人)と過去最多だった。
こうした状況を受け、市教委は25年度、新たに「あまみ不登校対策プロジェクト」を始動する。取り組みの柱は①児童生徒の状況を理解するための「支援シート」作成と活用の研修②心の健康観察とそれに関する研修③スクールソーシャルワーカー(SSW)の配置④あまみ不登校対策推進協議会の設置―の四つ。
7日は支援シートに関する研修の第1回があり、合わせて年4回実施予定。タブレット端末を活用した心の健康観察は現在、モデル校の名瀬中と崎原小中で実証中。SSWは昨年度より1人増の11人配置し、協議会は各関係機関と連携して1、2学期末にそれぞれ会合を設ける計画だ。
この日は、鹿児島大学教職大学院の関山徹准教授が講師を務め「関係づくりを大切にした再登校支援│多面的な理解と段階的・協働的な関わり」と題して講演した。
関山准教授は「学校に戻るだけがゴールではない」としつつ、学校は社会とつながり交流するために重要な場であることを強調。個々の児童生徒を取り巻く環境や心身の状態を踏まえた段階的な再登校支援を推奨した。
参加者らは仮想事例を参考に、児童生徒の活動域や家族・担任・友人らとの交流の度合いなどを数値化して支援シートに整理する方法を学んだ。具体的な支援体制の構築や、慎重な情報収集、児童生徒の心情に寄り添った対応の仕方にも理解を深めた。
関山准教授は「担任や養護教諭、カウンセラーなど立場が違うと見える景色が違う。それぞれが自分が介入できるポイントで関わっていくことができる」と、関係者が一体となって取り組むチーム支援の大切さを訴えた。