笑顔を広がる音楽療法 稲田さん迎え体験プログラム 大島養護学校

2018年12月10日

芸能・文化

 「こんにちは」と子どもたちにマイクを向ける稲田直美さん=11月17日、龍郷町

「こんにちは」と子どもたちにマイクを向ける稲田直美さん=11月17日、龍郷町

 奄美市手をつなぐ親の会(生元為市会長)主催の音楽療法体験プログラムが11月17日、龍郷町の県立大島養護学校体育館であった。障がいのある子どもやその保護者、学校教諭、障がい者施設職員など64人が参加。音楽療法士の稲田直美さん(39)=千葉県=を講師に、音楽に合わせて歌ったり、楽器を鳴らしたりと活動を楽しんだ。

 

 体験プログラムは、同会のレクリエーション活動の一環。会員親睦と音楽療法を知ってもらうことを目的に初開催した。

 

 音楽療法は、音楽の持つ特性を活用するプログラムを通してリハビリを行うこと。障がいの有無に関わらず、子どもから高齢者まで全ての人が対象となる。

 

 この日参加者との初めのあいさつは歌に乗せて行った。稲田さんが一人一人にマイクを向けて「こんにちは」と呼び掛けると、最初は恥ずかしがっていた子どもも笑顔で「こんにちは」と答えた。

 

 好きな楽器を演奏する活動では、稲田さんのキーボード演奏に合わせ、それぞれがカスタネットやタンバリンなどをたたいた。「一円玉の旅がらす」に合わせた参加者全員による演奏行進や三味線伴奏による歌唱活動もあった。

 

 イベント終了後、子どもたちは「楽しかった」「とてもすてきなメロディーだった」「またやりたい」などと感想を話し、充実した表情を見せていた。

 

 稲田さんは「一人一人の目標に合わせ、道具として音楽を使用するのが音楽療法。集中して友達と一緒に楽器演奏を止められた、または音を出せたという満足感を覚えたら、友達と一緒に何かやることも楽しくなる。音楽療法を継続していくことで日常に般化(一般化)できる」とその効果を説明した。

 

 稲田さんは父親が伊仙町出身の徳之島2世。2017年4月から奄美大島でも高齢者施設を中心に依頼を受け、音楽療法の活動を始めた。19年4月からは奄美大島に拠点を移し、活動を続ける予定。