海底のサンゴ割合半減 昨夏の高水温影響か 喜界島リーフチェック

2025年05月20日

大幅なサンゴの減少が確認された喜界島リーフチェック2025=10日、喜界町(提供写真)

NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所(渡邊剛理事長)主催のサンゴ礁の健康診断「リーフチェック」がこのほど、喜界町の荒木集落沖であった。海底のサンゴの割合は、同地点で2018年に記録を始めて以来過去最少の26・6%。前年の54・6%から半減し、同研究所の鈴木倫太郎地域環境計画室長は「昨夏の高水温により多くのサンゴが白化し、死滅した結果と考えられる。他の海の生き物への影響や、今後も高水温が続いた場合、さらなるサンゴの減少が懸念される」と話した。

 

リーフチェックはサンゴ礁保全を目的に世界規模、同一手法で行われる調査活動。喜界高校に通うサンゴ留学生(離島留学生)2人を含む23人が島内外から参加した。

 

調査は浅場(水深5メートル)と深場(水深10メートル)の海底にそれぞれ敷いた100メートルの線に沿って実施し、サンゴや岩など海底の構成物「底質」の状態や、漁業や観賞の対象となるチョウチョウウオ、ブダイ、ヤコウガイなど「魚類」「底生生物」の数を記録した。

 

結果、海底に占める生きたサンゴの割合は浅場、深場の平均で26・6%。特に浅場は22・5%と24年の50%から大きく減少した。魚類、底生生物に大きな変化はなかった。

鈴木室長によると白化を乗り越えたサンゴも多く、壊滅的な状況ではない。回復の可能性はあるが、サンゴの成長速度などを考慮すると少なくとも3年以上はかかるという。

 

同研究所によると、昨夏は奄美群島広範囲でサンゴの白化現象が確認された。奄美大島の昨年7、8月の平均水温が28~29度に達するなど、例年より海水温が高かったことがサンゴにストレスを与えたとみている。