ザトウクジラの死骸漂着 奄美大島で初確認

2022年02月08日

ザトウクジラの赤ちゃんの死骸を調べる関係者ら=7日、奄美市笠利町

奄美市笠利町の海岸で6日、ザトウクジラの死骸が浜辺に打ち上げられているのが見つかった。死骸を調べた奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「今シーズン生まれたばかりの赤ちゃんだと思う。母親とはぐれたのではないか」と述べた。興会長によると、奄美大島でザトウクジラの死骸が漂着した記録はなく、確認されたのは初めて。

 

同町笠利の海岸で6日午後、住民の男性がクジラの死骸を発見。連絡を受けた興会長と市職員らが7日に現地を訪れ、体長などを計測。死骸は解剖して海岸に埋設した。

 

個体は体長3・9メートルの雄で、尾には胎児のときにできたしわの跡が残り、生まれてから数か月もたっていないとみられる。腐敗は進んでおらず、数日内に死亡したと推定される。胃は空っぽの状態だった。母クジラと離れたため授乳されず、衰弱したとみられている。

 

ザトウクジラは体長12~14メートル、体重30トン超にもなる大型のクジラ。頭部のこぶ状の突起と長い胸びれが特徴。餌場のロシア沿岸などから繁殖や子育てのため、冬季に奄美や沖縄などの暖かい海域へ来遊する。奄美では近年、クジラを観察するホエールウオッチングが人気を集めている。

 

興会長は「亡くなったのは残念だけど、貴重な記録になる。2年後くらいに掘り返して、骨格標本として活用したい」と話した。近年、奄美近海に来遊するザトウクジラは増加傾向がみられ、「死骸の漂着も今後増えるかもしれない。見つけたら役場などへ連絡してほしい」と呼び掛けた。