世界自然遺産登録、歩みを回顧 天城町 初代保護官の渡邊さん講演

2022年07月28日

世界自然遺産

講演会で世界自然遺産登録実現への喜びを語る渡邊春隆さん=23日、天城町防災センター

【徳之島総局】奄美・沖縄の世界自然遺産登録1周年を記念した講演会が23日、天城町防災センターであった。環境省徳之島自然保護官事務所で初代保護官を務めた渡邊春隆さん(36)を講師に招き、登録への過程を振り返るとともに徳之島の魅力を再確認した。

 

渡邊さんは宮城県出身。2011年に環境省に入省し、奄美野生生物保護センター(大和村)勤務を経て、13年に天城町役場に設置された徳之島自然保護官事務所(現徳之島管理官事務所)の初代保護官を務めた。現在は内閣官房国際博覧会推進本部事務局参事官補佐を務めている。

 

講演会には徳之島3町から約50人が来場。渡邊さんは講演で、18年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)が「登録延期」を勧告した際に「もしかして徳之島が外されるのではないか」と不安に感じたと振り返り、「それだけに、昨年の登録決定の瞬間はうれしかった。国や県など個別の機関の成果ではなく、すべての関係者の協力のおかげ」と感謝を込めた。

 

また、就任当時を振り返り、「島内の環境省の職員は2人だけで島内のNPOや県、3町、住民の皆さんと協力しなければ何もできない。当時、私の一番の仕事は地元の方々との信頼関係の構築だった」と話し、「3年半の任期を終えて島を離れたが、今、こうやって講演に呼んでもらえるということは最低限の仕事は達成できたのではないかと思う」と笑顔で話した。

 

講演に続いてトークセッションもあり、森田弘光町長、徳之島地区自然保護協議会の豊村祐一会長、同町自然保護専門員の岡崎幹人さんが島内の自然環境について、意見や感想を述べた。