世界遺産センター、26日開館  奄美大島、報道機関に先行公開

2022年07月16日

世界自然遺産

奄美大島の森を再現した展示室=15日、奄美市住用町

環境省が奄美市住用町に整備していた「奄美大島世界遺産センター」が6月末に完成し、報道関係者向けの内覧会が15日行われた。奄美の森を再現したジオラマに、アマミノクロウサギなど希少な動植物の剥製や模型を展示。大スクリーンに映し出される映像と合わせて、豊かな自然を疑似体験できる。環境保全と観光利用を推進する総合拠点の誕生に期待が高まる。奄美・沖縄の世界自然遺産登録から1年の節目となる26日に開館する。

 

遺産センターは、世界自然遺産に関する情報発信と環境保全の普及啓発を担う拠点施設。「黒潮の森マングローブパーク」に併設し、木造平屋建ての本館など延べ床面積は約610平方メートル。総事業費は約7億5千万円。

 

展示室はシイの森や雲霧林、渓流、マングローブ林など、コーナーごとにそれぞれの環境で見られる動植物135種の剥製や精巧に作られた模型を配置。観察装置を使って生き物を探すと、動画で生態などが解説される仕掛けとなっている。

 

高さ約5・5メートル、幅約11・5メートルの大画面を使った超高精細な「8K」映像をはじめ、壁面の計5カ所のスクリーンに、訪れた季節の自然の映像が映し出される。展示室全体の映像や音声などが連動して、15分ごとに昼夜が切り替わり、季節や日夜で移り変わる森の雰囲気を体感できる。

 

展示室の入り口通路には、龍郷町在住の絵本作家・ミロコマチコさんのイラストが壁面いっぱいに描かれ、奄美の自然の成り立ちを物語のように紹介している。

 

内覧会では、同省奄美群島国立公園管理事務所の山根篤大国立公園保護管理企画官が施設の概要を説明。「フィールドを実際に歩いているように味わい、世界遺産に登録された奄美大島の価値を知ってもらいたい」と述べた。

 

26日は記念式典や関係者向けのお披露目会に続いて、午後3時から一般公開される。入館無料。島内5市町村の記念イベントも予定している。

完成した「奄美大島世界遺産センター」=15日、奄美市住用町