世界遺産委へ報告書提出 ロードキル対策など方針示す 奄美・沖縄

2022年12月02日

世界自然遺産

アマミノクロウサギのロードキル対策で道路への侵入防止ネットが設置された町道網野子峠線=11月23日、瀬戸内町

政府は1日、世界自然遺産の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の保全状況に関する報告書を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会へ提出した。急増するアマミノクロウサギのロードキル(交通事故死)対策など、遺産委が示した課題への対応方針を盛り込んだ。ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の評価を経て、次の遺産委で審査される見込み。

 

昨年7月の奄美・沖縄の世界自然遺産登録に際して、遺産委は▽特に西表島における観光客の制限(観光管理)▽アマミノクロウサギなど絶滅危惧種のロードキル対策▽包括的な河川再生戦略の策定▽緩衝地帯での森林伐採の制限(森林管理)―の4項目の課題を示し、報告を求めた。

報告書は、専門家や地元関係者らの意見を踏まえて、各項目について関係機関と専門家でつくる特別チームが対応をまとめた=別表参照。

 

奄美大島、徳之島では、クロウサギのロードキルが増え続け、今年9月末で計89件と、過去最多だった昨年1年間の78件を上回っている。報告書では、事故が多発するエリアで、道路への侵入防止柵を設置するなど対策を強化する方針を示した。

 

環境省自然環境計画課によると、報告書はIUCNの評価を経て遺産委で審査される。遺産委は今年6月にロシアで開催予定だったが、ウクライナ侵攻を受けて無期限中止となっており、次の開催場所や日程は未定という。