昆虫わな対策など協議 徳之島 希少野生生物保護対策協

2022年07月22日

世界自然遺産

昆虫トラップやロードキル問題で意見を交わした徳之島地区の奄美群島希少野生生物保護対策協議会=21日、天城町役場

【徳之島総局】奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長・宮澤泰子県自然保護課長)の徳之島地区の会合が21日、天城町役場であった。環境省、県、島内3町など関係機関から25人が出席。昨年島内で多数見つかった昆虫捕獲用のトラップ(わな)や、アマミノクロウサギなど希少野生動物のロードキル(交通事故死)などの問題について意見を交わした。

 

トラップは、徳之島、天城両町に比べ国立公園の面積が少ない伊仙町で設置されることが多い傾向にある。同町担当者は前年度の設置状況について「3町と希少野生動植物保護推進員で実施した保護パトロールの結果、島内で約200個を確認。今年も6月以降で町内だけで約50個を確認した」と説明。

 

トラップ設置への対応として、伊仙町では設置者に役場への連絡を求め、「連絡がない場合はわなを撤去する」と警告するチラシを掲示したところ、トラップの設置者から連絡があった例が1件あったほか、連絡がなかったトラップはチラシ掲示後3~4日で町が撤去、回収したと報告した。

 

ロードキルについては環境省徳之島管理官事務所が報告。過去5年間の調査でクロウサギの事故死件数18件と最多だった県道618号(松原轟木線)を対策最優先エリアとして挙げた。

 

またクロウサギの道路侵入防止のため設置している防獣ネットの効果については、ネット近くに設置したセンサーカメラで調査した結果を説明。「ネットをくぐったり飛び越えたりした個体はいなかった」と効果があることを伝え、「ネットの端の隙間から道路に出た例があったため、設置方法の改善でさらに効果が上げられる」と提言した。

 

オブザーバーとして出席した県希少野生動植物保護推進員の美延睦美さん(伊仙町)は「今年の冬、イボイモリが1路線で130匹ほど死んでいたことがあった。クロウサギ以外の小さな生き物のロードキル対策も考えるべき」と要望した。

 

22日は奄美市名瀬で奄美大島地区の会合がある。