車両規制の実験終了 奄美市住用町の三太郎線

2020年11月25日

世界自然遺産

 夜間に野生生物を観察するナイトツアー客の増加を受けて、環境省が奄美市住用町の市道三太郎線周辺で実施した車両通行規制の実証実験は23日、5日間の日程を終了した。期間中に予約をして三太郎線を通行した車両は計76台で、一晩では21日の18台が最も多かった。規制に法的強制力はなく、予約がない場合は自粛を求めたが、受け入れない利用者もいた。同省は「奄美大島の貴重な自然を守るために、利用ルールの導入は重要な取り組み。実験結果を検証して導入を目指したい」と述べた。

 

 三太郎線周辺はアマミノクロウサギなど希少な動物が多く見られることから、ナイトツアーの人気スポットとして知られる。実証実験では、奄美・沖縄の世界自然遺産登録に伴う利用者の増加を見据えて、希少動物の交通事故や、利用者同士のトラブルの防止を目的に、利用ルール案を試行した。19~23日の午後6~11時、三太郎線の約10㌔の区間で通行を予約制とし、車両台数を1日20台に制限した。

 

野生生物の観察ルールについて説明を受ける車両=23日、奄美市住用町(環境省提供)

野生生物の観察ルールについて説明を受ける車両=23日、奄美市住用町(環境省提供)

 期間中に予約をして通行した車両は21日のほか、22日17台、23日16台、19日15台、20日10台の順で多かった。全76台のうち、ツアー客を案内する観光ガイドの車両は42台、地元ナンバーの車両18台、レンタカー16台だった。

 

 予約をしておらず、自粛の要請に応じなかった車両は2台。引き返した車両も3台あった。

 

 通行は15分ごとに1台に制限し、現地では環境省の職員らがゆっくり走行することや、無理に追い抜いたりせず、車両同士が譲り合って利用することなど、野生生物を観察するためのルールを説明した。多くの利用者がクロウサギなどを観察できた一方、途中で車両の間隔が詰まったりして、十分に生き物を見られない人もいたという。

 

 環境省は奄美・沖縄の登録審査がある2021年夏ごろまでに利用ルールの導入を目指している。奄美野生生物保護センターの早瀬穂奈実国立公園管理官は「追い越しなどのルール設定に課題が見られた。利用者の声を踏まえて改善点を検討し、生き物も利用者も安心なルール作りを進めたい」と述べた。