運用開始で「混雑が緩和」 三太郎線の車両規制 ルール改善へ意見公募 奄美市住用町

2022年02月03日

世界自然遺産

夜間の車両規制を試行している三太郎線で予約確認を行う関係者=2021年10月29日、奄美市住用町

環境省は1日、奄美市住用町の市道三太郎線周辺で試行している夜間の車両通行規制の運用に関する報告をまとめた。昨年10月下旬の運用開始から12月末までの約2カ月間に三太郎線を通行した車両は661台。一晩の平均では10・3台だった。夜間に野生生物を観察するナイトツアーによる「混雑が緩和された」と評価する一方、予約をしないで通行したり、利用の自粛を求めた区間へ侵入するなどルール違反も確認されており、同省は「結果を踏まえて課題を洗い出し、ルールを改善していきたい」としている。

 

三太郎線周辺の通行規制は、奄美・沖縄の世界自然遺産登録に伴うナイトツアー客の増加を見据えて、希少動物の交通事故や車両の追い越しなどをめぐるトラブルの防止を目的に昨年10月29日に始まった。環境省など官民の関係機関でつくる夜間利用適正化連絡会議で検討を重ね、夜間の通行は1時間4台に制限し、予約制とするなど規制方法を決めた。

 

現地に設置した自動撮影カメラの映像を基に利用状況を分析した。報告などによると、月別の利用台数は▽10月 29台▽11月 299台▽12月 333台―。一晩では12月4日と28日がともに20台で最も多かった。

 

通行した車両のうち、予約をしていたのは602台と9割以上を占めた。予約をしていなかったのは、事前申請によって予約不要の土地所有者などを除いて50台程度とみられる。

三太郎線に接続し、世界遺産地域を通るため通行の自粛を求めた市道スタル俣線で40件の侵入が確認された。予約時間を守らなかった車両は全体の約4割に上り、無断のキャンセルも57件あった。

 

報告では、同じ時間帯に三太郎線に滞在している車両が試行前の最大12台から8台に減少するなど「混雑が緩和された」と評価した。トラブルの原因とされる車両の追い越しや、すれ違いなどの回数も減少し、「『安心して通行できた』という人が増えた」としている。

 

連絡会議は運用状況に関する住民向けの報告会を2月に予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中止した。三太郎線周辺の規制内容や予約方法などについて、住民の意見を募集している。アンケートサイト(QRコード)かメールRO-AMAMI@env.go.jpで受け付ける。14日まで。

意見募集のアンケートサイト