猫の交通事故死も大幅減 捕獲範囲は拡大・強化へ 環境省ノネコ捕獲検討会・奄美大島

2024年02月27日

ノネコの捕獲状況などが報告された検討会=26日、奄美市名瀬

環境省が奄美大島で進める野生化した猫(ノネコ)の捕獲に関する検討会(座長・石井信夫東京女子大学名誉教授、委員4人)が26日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。2023年12月末現在のノネコ捕獲数は95匹で、今年度の捕獲総数は昨年度(97匹)を上回る見込み。24年度は北部地域へ捕獲エリアを広げる。繁殖制限を目的に進める野良猫のTNR事業は島内全集落の87%で実施され、関連して猫の交通事故死も大幅に減少したとの報告もあった。

 

ノネコの捕獲は生態系の保全を目的に、環境省と県、島内5市町村が策定したノネコ管理計画に基づき18年7月に開始。検討会は島外からのオンライン参加を含め、学識経験者で構成する委員と関係者、一般傍聴者計86人が出席した。

 

環境省の報告によると、23年度の捕獲エリアはこれまでの島南西部に、宇検村北部と奄美市名瀬の下方地区、中心市街地の一部を新たに加えた約498・8平方キロで、18年7月の捕獲作業開始から23年12月末までの捕獲総数は521匹となった。

 

重点地域として捕獲作業を実施した宇検と奄美市名瀬の知名瀬ではノネコの個体数減少を認め10月に低密度維持地域へ移行。12月からは名瀬地区全域でモニタリングを開始し、1月から新規重点地域として捕獲作業を行っている。

 

24年度は新規捕獲エリアに奄美市名瀬の一部と龍郷の北西部を加える予定。複数の雌の出産を確認している地域では個体数が維持または増加傾向にあるとして、捕獲方法の検討や集落から山へ入る猫の対策強化などが今後の課題に挙がった。

 

ノネコの発生源となる野良猫対策などについて、5市町村でつくる奄美大島ねこ対策協議会の事業進展状況が共有された。TNR事業は開始から23年12月までの4年7カ月間に106集落で展開され、709匹の野良猫の不妊化手術を実施。調査で確認した野良猫1422匹の不妊化率は94%となった。飼い猫登録は全体で2824匹、完全室内飼養率は68%。

 

国道、県道と奄美市道上で回収された猫の死骸数は19年度が130匹、22年度が18匹。屋外で死んだ猫の数が激減したことが示され、「奄美大島における猫対策の成果の一端だ」と評価された。