先史時代の生活環境知る 宇宿小で講演会 「南の縄文文化」巡回展

2023年02月12日

芸能・文化

遺跡や出土品から分かる南西諸島の縄文文化について専門家らが解説した巡回展講演会=11日、奄美市笠利町

奄美市名瀬の奄美博物館で開催されている巡回展「南の縄文文化~奄美の自然と縄文文化~」(上野原縄文の森主催)の講演会が11日、同市笠利町の宇宿小学校体育館であった。同町にある国指定史跡の宇宿貝塚や縄文時代の南西諸島の文化などについて、奄美博物館学芸員の喜友名正弥さんと上野原縄文の森の堂込秀人園長が講演。地域住民など約60人が来場し、先史時代の奄美への興味を深めた。

 

喜友名さんは宇宿貝塚について説明。竪穴住居跡や年代ごとに種類が異なる土器が発見されたことで、群島各地で発掘調査が進むきっかけとなった同遺跡を「奄美考古学発祥の地」と位置付けた。

 

宇宿貝塚からは縄文時代後期のものとされる南九州地域の土器も出土しており、「南西諸島で海を隔てた交流が発展していたことが確認でき、土器編年研究に影響を与えた」と学術的な価値を強調した。

 

堂込園長は、遺跡を通して分かる先史時代の生活環境について解説。伊仙町のガラ竿遺跡で見つかった石器から「奄美群島には3万年前ぐらいから人が暮らしていた」と推測し、群島各地で発見された住居跡や出土品を紹介しながら当時の人々の食生活や文化、社会の形態などを説明した。

 

宇宿小4年の鈴木優大君(10)は「学校にも土器があるので調べてみたい」と興味が湧いた様子。母の彩子さん(48)は「今の私たちの生活が何万年後にどう残るのかという考え方が面白かった」と話した。

 

巡回展は奄美群島の日本復帰70周年と上野原縄文の森開園20周年を記念したコラボ企画。霧島市の上野原遺跡の出土品のほか、群島各地で発掘された土器や貝製品などを展示している。28日まで。