奄美初、栄田さん1位 フラワーデザインかごしまカップ ハンディを島の価値へ

2023年02月12日

社会・経済 

賞状を手にするH.O PROJECTの栄田将太さん=6日、奄美市

第21回フラワーデザインかごしまカップで1位に輝いた「春の輪音」(提供)

県フラワー協会主催「第21回フラワーデザインかごしまカップ」の審査が3日、鹿児島市中央町のアミュプラザ鹿児島で行われ、フリーデザイン部門で奄美市名瀬の生花店「H.O PROJECT(エイチ・オー プロジェクト)」の栄田将太さん(40)が手掛けた作品「春の輪音(りんね)」が1位に輝いた。奄美群島からの出展者が1位となったのは初めて。

 

同カップは、豊かな花文化の醸成や装飾技術の向上などを目的に、2002年に「フラワーフェスタ」(県花き振興会主催)の一環として始まった。今年は新型コロナウイルス禍で3年ぶりの開催となり、同部門に県内から12作品が出展された。

 

栄田さんは東京で花の流通から販売、デザイン、装飾までを一貫して行う総合企業に11年間勤務した後、厚生労働省フラワー装飾技能士1級、AFFA生花祭壇技能検定S級の資格を取得し、16年に郷里の奄美市名瀬で生花店をオープン。店名には、「花」を贈る人が込めた「想(おも)い」や「おもてなし」の心に寄り添える店を目指し、頭文字の「は(H)」と「お(O)」を付けた。

 

同カップへの出展は、旧暦1、15日に墓参りの風習が残り、花文化が根付く島の人たちに、作品を通して「花を贈る意味」や「花の価値」を改めて伝えたいと挑んだ。本作のテーマは「春」。「結ノ心」を見立てた輪の中に、ラナンキュラスやスイートピー、スターチスといった季節の花など12種類を使って春の息吹(音)を表現し、島の作家の器や装飾品を用いて〝奄美らしさ〟を演出した。

 

輸送面で生花の品質保持が難しいとされる離島からの出展。栄田さんは「島ゆえの『ハンディ』を島だからこその『価値』に変えたかった。そう感じている人は島には多い。今後も島からの挑戦を重ねながら自らの技術を高め、同志と手を取り合い、花はもちろん、奄美大島の価値も高めていきたい」と話した。