離島の課題を共有 県医学検査学会開催 奄美市

2023年02月14日

社会・経済 

臨床検査技師らが離島の課題を共有し、意見交換した県医学検査学会=12日、県立大島病院

第18回鹿児島県医学検査学会が11、12の両日、奄美市名瀬の県立大島病院講堂で開催された。「ここが大変、離島の検査室」の題でシンポジウムがあり、奄美大島、喜界島、徳之島の臨床検査技師たちが、悪天候に伴う必要資材の欠品や人材不足などの課題を共有。活発に意見を交わし、奄美医療圏内での連携の重要性を再確認した。

 

臨床検査技師は医師の指示の下、患者に対して心電図、超音波(エコー)といった生体検査や、血液や尿などの検査を行って、診断や治療に必要なデータを分析・提供する医療技術職。

 

学会は情報共有や会員の交流、スキルアップなどを目的に県内各地域持ち回りで毎年開催している。奄美会場での実施は7年ぶりで、WEB会場も含めて島内外の臨床検査技師ら約100人が参加した。

 

両日とも、新型コロナ関連や輸血などのテーマごとに研究発表があった。シンポジウムは2日目にあり、同学会実行委員で県立大島病院の上野伸広臨床検査技師長を座長に、群島内の検査技師6人が議論。

 

▽悪天候による欠航で試薬が届かず、在庫管理が難しい▽輸送中の温度管理に不安がある▽緊急時の輸血の対応が困難▽技師採用を募集しても応募がない-などの課題を共有し、早期発注に向けた院内での情報共有強化、働く場所としての魅力発信などの案を出し合った。

 

参加者から「輸血後の致死的な副作用を防止するため、輸血用血液製剤専用放射線照射装置の整備を」「県初の臨床検査技師養成科が2024年度鹿児島市内の専門学校にできる見込み。地元人材の確保に向けたアピールも必要では」などの意見もあった。

 

11日は特別講演があり、一般社団法人巡めぐる恵めぐるの新元一文代表理事が奄美の文化や歴史を紹介した。