途絶えた歌や踊り復活へ 住民有志の会発足、始動 龍郷町秋名・幾里

2023年03月27日

芸能・文化

先人が残した歌や踊りを復活させようと始動した秋名・幾里地区有志の集い=23日、龍郷町秋名

地域で途絶えていた歌や踊りの復活・継承を目指す住民有志の会が23日、龍郷町の秋名・幾里地区で発足した。初日の集会は秋名コミュニティーセンターであり、地域住民や出身者など約40人が参加。発起人で秋名アラセツ行事保存会長の窪田圭喜さん(82)は「(歌や踊りは)秋名に残っている宝物。われわれの代で途絶えさせてはいけない」と力を込めた。

 

有志の会立ち上げは、同集落に150年以上前から伝わる子守歌や仕事歌の音源が見つかったことがきっかけ。4月から月1回の練習を計画しており、古い歌を掘り起こして復活させるとともに、現在6曲ほどしか踊られていない同地区の八月踊り全12曲分の継承にも取り組む。

 

音源は1968(昭和43)年8月4日に収録されたもの。仕事歌(イトゥ)の「キビ取り草」「田の草取り」「こーばらイトゥ」と、「秋名のまりつき唄」「秋名の子守唄」の5曲があり、仕事歌では男女が交互に歌を掛け合う。

 

窪田さんによると、現在90代の住民でも覚えていない曲があり、長い間途絶えていたという。歌の復活に向け、一から学ぶ住民や出身者のためCDと歌詞カードも作成した。

 

窪田さんは「先人たちが残した歌や踊りを、皆さんもぜひ一緒に伝承していただきたい」と住民らに呼び掛けた。

 

参加した森吉喜美恵さん(39)は「秋名で生まれ育ったが、初めて知る曲があってびっくり。新しい発見だった。八月踊りは小さい頃から当たり前にあったので、次世代にも経験させてあげたい」と話した。娘の恵菜さん(12)は「歌詞を覚えられるように頑張りたい」と笑顔を見せた。