対馬丸の悲劇、宇検で現地調査 沖縄の小中学生
2018年08月19日
子ども・教育
沖縄県の小中学生17人が18日、太平洋戦争時に米潜水艦に撃沈され多くの犠牲者が出た対馬丸事件の慰霊碑がある宇検村宇検の船越(フノシ)海岸を訪れ、現地調査を行った。沖縄県主催の第1回対馬丸平和学習交流事業の一環。参加者は当時の悲惨な状況を思い浮かべながら犠牲者の冥福を祈り、不戦への思いを新たにした。
対馬丸は1944年8月21日、学童や一般疎開者を乗せて那覇港を出港。同22日、トカラ列島の悪石島沖で米潜水艦の魚雷攻撃を受け沈没した。判明分だけで学童を含む1400人以上が犠牲になった。多くの遺体が流れ着いた船越海岸には昨年3月、慰霊碑が建立された。今月8日死去した翁長雄志沖縄県知事も昨年11月、献花のために慰霊碑を訪れている。
交流事業には宇検村の小中学生約30人も参加。現地では引率スタッフが遺体の埋葬に当たった宇検村住民の証言「遺体の多くがサメにくわれていた」「むごたらしさに耐えられず焼酎をあおりながら埋葬した」を紹介した。
参加した浦添市の中学2年生は「対馬丸のことは授業で聞いていたが、自分では絶対経験したくないような悲惨な話は初めて聞いた。生存者の救助に尽くし、事件の悲惨さを語り継いでくれている宇検村の人たちのように命を大切にできる人にならなければと思った」と感想を述べた。
交流事業は慰霊碑建立を契機に企画され、今回が初の実施。主催者によると定員30人に対し40人以上の申し込みがあった。沖縄本島の小中学生や保護者ら計35人が17日、空路で奄美大島入り。19日に帰路に就く。
22日は沖縄県那覇市の対馬丸記念館で慰霊祭があり、宇検村から松井富彦副村長が出席する予定。