「顔が見える」卒業式へ マスク外せる解放感、抵抗も 高校卒業式シーズン

2023年02月27日

子ども・教育

新型コロナ発生後、卒業生らがマスクを着用して出席した奄美群島内の高校の卒業式(資料写真)

卒業式シーズンを前に文部科学省は10日、学校の卒業式で「マスクを着用しないことを基本とする」と各都道府県の教育委員会などに通知した。奄美群島では、ほとんどの高校で28日に卒業式が開かれる。各高校では式典の一部でマスクを外したり、着用を求めず個人の判断に委ねたりと状況に合わせて対応。4年ぶりの「顔が見える」卒業式に、卒業生たちからは「やっと顔を見せられてうれしい」「今さらマスクを外すのは抵抗がある」など、期待や不安の声が上がった。

(餅田彩葉)

 

■着用なしが基本

 

文科省の通知によると、卒業式では児童生徒や教職員は式全体を通してマスクなしで出席可。保護者や来賓はマスクを着用するが、席の間隔を空けるなどの対策を行えば参加人数の制限は必要ない。

 

式典中の国歌・校歌斉唱や在校生が卒業生に対して行う「呼び掛け」では、マスク着用などの一定の感染対策が必要。これらを踏まえた上で、文科省はマスクの着脱について各個人の事情にも配慮し、強制はしないことを求めている。

 

■群島各校、状況に合わせて対応

 

群島内の高校は定時制を含む計8校が28日に卒業式を行う。与論高校は21日に式典を終え、樟南第二高校は3月1日に実施予定。卒業生は計796人(21日現在)。

 

与論高校の卒業式では、生徒と職員は式典にマスクを着用せずに出席。来場者には着用を呼び掛けた。手指消毒などの基本的な感染対策を徹底し、換気を行いながら国歌・校歌斉唱も行った。

 

歌の斉唱時を除き、式全体を通してマスク着用を求めず個人の判断に委ねるとしたのは奄美、古仁屋、喜界、徳之島の4校。樟南第二は個人判断を検討中。

 

大島、大島北、沖永良部は入退場時や卒業証書授与などではマスクを外し、式典中は着用を推奨する。卒業式前後に大学の入学試験を控える生徒がいることなどが理由だ。

 

保護者の来場は奄美、大島、大島北、古仁屋、喜界が各家庭2人まで。徳之島、樟南第二、沖永良部、与論は人数を制限しない。

 

■不安、うれしさ、反応さまざま

 

卒業式でのマスク着用が見直されたことについて、コロナ下で入学し、マスク姿で3年間を過ごした卒業生たちからはさまざまな声が上がった。

 

奄美高校3年の米田愛奈さん(18)と厚はいびさん(同)は「マスクは外したくない」と卒業式でのノーマスクに消極的。米田さんは「日常的にマスクがあるのが当たり前だった。外すのには抵抗がある」、厚さんは「入学からマスクを着けていたので今さら素顔を見せるのは恥ずかしい」と話した。奄美市名瀬の男子生徒(同)も「まだ心配なので着けておきたい」と慎重だ。「東京に進学するので、上京前にコロナに感染すると困る」と不安を語った。

 

一方、大島高校3年の脇田菖吾さん(18)は「やっとマスクを外せるという解放感が強い」と喜んだ。日本国内で新型コロナの影響が出始めた3年前、中学校の卒業式でもマスクを着用したという脇田さんは「自分たちはコロナ下が当たり前の中で過ごした。マスクをしていないと顔が分からない人もいる」と明かし、「恥ずかしさもあるが、最後の最後で同級生一人一人の顔をはっきり見ることができるのはうれしい」と声を弾ませた。