伝統芸能に理解深める 生徒らが能、狂言を体験 金久中

2022年11月27日

子ども・教育

能面を試着する生徒ら=25日、奄美市名瀬

奄美市名瀬の金久中学校(窪田智司校長、生徒325人)で25日、「能と狂言の教室」があった。能楽師5人と狂言師2人が講師を務め、伝統的な演目の一部を実演。2年生105人が参加し、衣装の試着や所作などの体験を通して日本の伝統芸能に理解を深めた。

文化庁が主催する「子どものための文化芸術鑑賞・体験再興事業」の一環。保護者や地域住民など約30人も来場した。この日は同校のほか、奄美市笠利町の笠利中でも同教室が開かれた。

 

前半は能楽師らが能の演目「羽衣」「船弁慶」の一部を実演。鑑賞後は舞いや謡(うた)いの体験があり、生徒らは構えの姿勢やすり足、悲しみの表現のほか、「羽衣」の歌の一節を教わった。能面と装束の試着も行い、実際の着心地や演者の視界などを体感した。

 

後半は狂言の声の出し方や柿を食べる演技を体験。盆栽を盗もうと知人宅に忍び込んだ男と家主のやりとりを面白おかしく演じる「盆山」も鑑賞した。男がさまざまな生き物の鳴きまねをする滑稽な展開に会場からは笑い声が上がった。

 

能の装束を試着した萩原佳太さん(14)は「昔に戻った感じがする。能は想像以上に迫力があった」、重田望さん(同)は「狂言はよく聞いたら意味が分かった。独特な擬音語が面白かった」と感想を話した。

 

全国の小中学校などで能楽の普及に取り組む、NPO法人白翔會の理事長で能楽師の坂井音雅さん(48)は「能楽は人の心の豊かさを求める芸能。継承者として、できるだけ多くの人に伝えていければ」と語った。