ヤギと人との未来探る 3年ぶり全国サミット開催 保護・環境・活用の課題提起 奄美大島

2022年11月27日

社会・経済 

全国各地のヤギ好きが集い意見交換した全国山羊サミット=26日、奄美市名瀬

「第22回全国山羊サミット奄美大会」が26日、奄美市名瀬の市民交流センターで始まった。全国各地のヤギ好きが集う大会の今回のテーマは「世界自然遺産の中の山羊たち」。約150人が参加し、奄美群島における人とヤギの歴史的関わりを学びながら、保護や環境対策、産業としての活用に向けた課題を提起。ヤギの魅力や文化的意義を確認しつつ、人とヤギの未来の姿を探った。最終日の27日は龍郷町でヤギの飼養管理に関する研修会がある。

 

サミットは同実行委員会(有村修一実行委員長)と全国山羊ネットワークの主催で、2019年以来3年ぶりに開催された。世界自然遺産登録などを受け、ヤギが地域文化に深く根付く奄美大島が開催地に決まった。

 

基調講演では、鹿児島大学の萬田正治名誉教授がトカラヤギなど日本在来種の絶滅の危険性を指摘し、保護の必要性を訴えた。環境省奄美野生生物保護センターの阿部愼太郎所長は群島における外来種の問題を解説。「ノヤギによる食害や土壌崩壊には抜本的な見直しが急務」と警鐘を鳴らした。

ヤギに関するさまざまな講演があったサミット

事例発表として▽ヤギ乳製品製造と販売の取り組み(龍郷町それいゆふぁーむ・勝島利美代表)▽ヤギの飼養管理と課題(喜界島の畜産業・豊原芳宏さん)▽肉用ヤギの寄生虫感染に関する研究(喜界高2年・渕脇成さん)などの報告があった。

 

沖縄山羊文化振興会の平川宗隆会長は、東アジア各地のヤギ食文化を紹介。総合討論では食肉加工場に関する情報共有の要望や群島内における循環農法について意見が交わされた。

総会後は同市名瀬の奄美山羊島ホテルに会場を移して交流。参加者はヤギ料理に舌鼓を打ちながら親睦を深めた。