学生が島ラジオ研究 仲塚さん、「口頭発表賞」 若者のアイデンティティー確立に貢献 鹿児島大学

2023年03月21日

子ども・教育

「あまみエフエムが若者に与える影響について」をテーマに研究した鹿児島大学3年の仲塚愛莉さん(右)=16日、鹿児島市の鹿児島大学

【鹿児島総局】鹿児島大学法文学部3年の仲塚愛莉さん(21)は2022年度、「あまみエフエムが若者に与える影響について」をテーマに奄美市でフィールドワークを行った。街頭調査などを通して、島の地域ラジオが「奄美大島出身である」とのアイデンティティー確立に結び付き、島を離れる若者の帰巣本能にも無意識に影響を与えていると分析した。研究内容は10日に鹿児島市の同大学であった成果報告会で発表。学長を含む審査員3人の全会一致で「口頭発表賞」に輝いた。

 

研究は同大学が設ける地域人材育成プラットフォームの一つ「かごしま地域リサーチ・プログラム」の一環。報告会では全3プログラムの修了予定者計26人が研究成果をポスターで披露。各プログラム代表によるプレゼンテーションで、仲塚さんの発表は論理性やストーリー性、着眼点などの点で高く評価された。

 

仲塚さんは鹿児島市出身だが、以前から県内の離島に興味があったことから今回のテーマを設定した。昨年11月に奄美大島を訪れ、あまみエフエムを運営するNPO法人ディ(麓憲吾代表)や奄美市名瀬の中心市街地で施設や店舗を現地調査。小中高生32人への街頭インタビューでは、あまみエフエムの認知度が100%だったほか、高校卒業後に島を離れる予定の9割のうち、7割が「いずれは島に帰りたい」と答えた。

 

これらの調査から仲塚さんは、あまみエフエムとの関わりが奄美出身であることの誇りや島への愛着を抱く感情に大きく影響を与えていると考察。若者世代のUターン促進策として、インターネットでも聞けるラジオを活用した出身者向けの積極的な島の情報発信を提案した。

 

仲塚さんは「アーケードにスピーカーが設置されているなど、無意識にラジオを聞くことができる環境が整っている。本土にはない特別な雰囲気がある」と話し、「島の魅力は人。話していると温かさを感じた」と振り返った。卒業論文も奄美をテーマにする予定で、「島のことをもっと知りたい」と意気込んでいる。