復帰の記憶、地域で取材 大島北高 聞き書きサークル

2023年07月28日

子ども・教育

 シマ(集落)の古老や名人から昔の様子を聞き取り伝え残そうと、県立大島北高校(松本勇二校長)が毎年取り組んでいる「聞き書きサークル」の取材活動が27日にあった。今年は奄美群島の日本復帰70周年を踏まえ、復帰運動や米軍統治下の暮らしなどを中心に調査。生徒らは奄美市笠利町の各集落で年配者から当時の経験を聞き、地域の歴史に理解を深めた。

 

「聞き書き」は話し手の言葉を書き起こして記録する手法。同校では、生徒たちが地域の魅力を再発見し、暮らしや文化を後世に継承することを目的に2014年から行っている。

 

この日は1、2年生の有志16人が町内の8集落に分かれて取材。須野集落の須野生活館では、川見迪夫(みちお)さん(80)、田畑アキ子さん(85)、常田シナ子さん(同)、森スミコさん(同)にインタビューし、復帰前後の生活状況などについて尋ねた。

 

4人は生徒らの質問に一つ一つ丁寧に回答。学校の呼び掛けで行われた復帰運動で小旗を振って行進したことや、貧しい暮らしの中でも集落の人々が食べ物を分け合って「結いの心」を大切にしていたことなどを語った。

 

川見さんは「自分の孫と話しているような気分。ぜひこの活動を続けて、地域について勉強してほしい」と目を細めた。

 

普通科2年の朝岡歩紀花さん(16)は「復帰関連の資料は名瀬のことが多いので、笠利地区の当時の様子を知ることができてよかった。聞いた話を詳しくまとめて、先人たちの思いや頑張りを伝えていきたい」と語った。

 

調査結果は年度内に冊子にまとめて、奄美市や龍郷町の中学校などに配布する予定。