行政分離期の生活学ぶ 日本復帰記念で学習会開催 伊仙町

2023年06月03日

子ども・教育

行政分離期の体験を児童らに伝える赤塚さん(左)、上木さん(同2人目)=1日、伊仙町の面縄小

【徳之島総局】伊仙町教育委員会主催の奄美群島日本復帰学習会が1日、同町の面縄小学校(石原つぎ子校長、児童101人)であった。戦後、奄美群島が日本本土と行政分離され米軍政下に置かれた時代を経験した地域住民2人が講師を務め、戦中、戦後の面縄の様子や人々の暮らしについて児童らに伝えた。

 

学習会は奄美群島日本復帰70周年を記念して10月までに町内8小学校で実施する。講師は町内在住の高齢者が務め、日本復帰に至った経緯や当時の生活について紹介する。面縄小では4年生児童17人が受講。ともに面縄在住で同小の卒業生でもある上木久市さん、赤塚文子さんを講師に招き、戦中、戦後の面縄の様子について学んだ。

 

上木さんは1944(昭和19)年に面縄港で出征する兵隊を見送ったこと、面縄小学校も空襲で焼けたことなど戦中の出来事を紹介。日本から切り離されてからは教科書が入手困難になり、先生がガリ版で複製した教科書を使ったこと、竹を編んで作った机で勉強していたことなど当時の学校の様子を話した。

 

食育に力を入れている赤塚さんは当時の食事について紹介。主食はサツマイモでキャッサバの根も食べていたことを伝え、「当時の人たちが必死に生きてきたからこそ今がある。好き嫌いせずに感謝を込めて食事をしてほしい」と児童らに呼び掛けた。

 

児童らからは「どんなスポーツをしていたの」「一番のごちそうは何だった」などの質問があり、上木さん、赤塚さんは「野球とドッジボールは知っていた」「病気の時だけ卵を食べさせてもらえたのが一番のごちそうだった」と答えた。

 

受講した大倉悠慎君は「地域の人の説明なので昔のことでも想像しやすかった。今では考えられないことも多かったけど、実際に面縄で起きたことなんだと実感できた。今後も自分たちで昔のことをいろいろと調べてみたい」と話した。