「地元意見集約し、国へ要望」 自衛隊施設整備で説明会 瀬戸内町須手
2025年01月13日
政治・行政

須手地区の公民館で行われた町開催の住民説明会=12日、瀬戸内町
防衛省が瀬戸内町古仁屋港で検討している自衛隊艦艇の輸送・補給拠点について、昨年末に須手地区を適地と判断し来年度予算案に実施設計費約2億円を計上したことを受け、瀬戸内町は12日、同町須手地区の公民館で集落住民向けの説明会を行った。住民からは港湾施設全体の配置や埋め立て工事の内容について情報を求める声が聞かれた。町は今後、集落や関係団体からの意見を集約し、2025年度予算成立後に国などへ要望活動を展開するとして、須手地区住民へ要望書作成の協力を依頼した。
説明会は須手集落からの要望を受け、町が開催。鎌田愛人町長と福原章仁副町長、総務課長ら5人が出席し、住民28人が参加した。
防衛省は南西諸島の輸送・補給基盤整備に向け調査費6億円を計上し、23年秋に須手地区で現地調査を開始した。土地面積や地盤強度などを確認し、地理的位置や近傍に自衛隊活動基盤があることなども踏まえ、同地区が適地と判断。埋め立てや施設整備に向け設計費約2億円を25年度予算案に計上した。今後、自衛隊艦船の係留岸壁や燃料タンク、隊庁舎、倉庫、野積場などの整備を進める計画。
質疑応答で住民からは「工期はいつか」「埋め立て用の砂利はどこから調達するのか」「民家の目の前が埋め立て予定地となっているが影響は」「(須手公園の)ゲートボール場や遊漁船の発着地はどうなるか」「輸送する弾薬やミサイル、武器類の仮置き場なども設置されるのでは。自然災害の避難所を兼ね有事に備えたシェルター設置も必要」「実施設計の予算計上というが、前段階となる基本設計をまず示してほしい。要望を上げるにもイメージできない。今後米艦艇の着岸があるのかなども示してほしい」などの声があった。
鎌田町長は「(回答となる)情報はないが、今後国会を経て予算が成立し、実施設計がなされた後で施設配置など明らかになると思う。埋め立て地の工事が民家に影響を及ぼすということであれば防衛省から話があるのでは」などと回答。「われわれは小さなことでもさまざまな意見を吸い上げたいと思っている。自衛隊施設と住家の間に緩衝地帯や緑地帯を設けるなど、集落の要望書をまとめ、2月末までに町へ提出してほしい」と協力を求めた。
今後は「2月から3月にかけ集落や漁協など関係団体の意見を集約し、3月に町自衛隊基地推進協議会としての要望書をまとめる。25年度予算成立後に防衛省や政府、国会議員へ要望活動を展開していきたい」とも述べた。
県ホームページでは、同地区の整備に関し九州防衛局からの提供資料を公表している。
瀬戸内町では2005年に町議有志が「瀬戸内町自衛隊を支援する議員の会」を立ち上げて以降、町や町議会、漁協、建設協会などで構成する瀬戸内町自衛隊基地対策推進協議会(会長・鎌田町長)が海上自衛隊奄美基地分遣隊や陸上自衛隊瀬戸内分屯地の拡充、港湾施設整備など政府や防衛省、国会議員へ自衛隊誘致・要望活動を続けていた。