デジタル改革 実証始動 「フロントヤード改革」に採択 快適さ、全国離島のモデルへ 瀬戸内町
2024年03月31日
政治・行政
「行かない・書かない・待たせない窓口」の構築に瀬戸内町役場が乗り出す。1月、総務省が地方公共団体を対象に公募していた「2023年度自治体フロントヤード改革モデルプロジェクト」に、瀬戸内町が採択された。有人離島があり東西広域にわたる瀬戸内町で、すべての町民が役場に行かなくても手軽に行政サービスが受けられるよう、デジタル改革の実証事業が始まる。
「自治体フロントヤード改革」は、住民と行政との接点(フロントヤード)をデジタル化によって、より快適にするための総務省のプロジェクト。瀬戸内町では総務省から4444万2千円の補助を受け、24年度の1年間、さまざまな実証実験を行う。
請島と与路島では衛星通信サービス「スターリンク」の専用アンテナを設置。インターネット環境を整え、島内診療所と本島側をつないだ遠隔診療や遠隔教育の実証を行う。
加計呂麻島では25年3月にオープン予定の新加計呂麻ターミナルで郵便局に委託し、公的証明書を交付する事業を展開する。
また3島と古仁屋側の海の駅では、画面メニューをクリックするだけで役場に行かなくても自動的に職員につながる「遠隔相談システム」なども設置予定。
本庁舎では、窓口でマイナンバーカードをかざすだけで書かずに各種申請ができる「かんたん窓口システム」や、スマートフォンから公的証明書などの申請ができる「スマート申請システム」などの構築を進める。
このほか、快適な役場利用を促すために、来庁者の庁舎内での行動導線や不満な点を調べるカスタマージャーニー調査分析を4月から始める。
役場業務も作業効率化を推進。これまで職員が紙からパソコンへ手入力していた作業を、専用のシステムやAIを導入することで情報入力の自動化を図る。紙での文書管理も改め、電子化することで執務スペースを整理し、相談スペースを確保するなどの改革を図る。
中島淳弥DX推進室長は「高齢化が進む中、スマホが扱えないとサービスが受けられないということがないよう、すべての町民が等しくデジタル化の恩恵を享受できるようにしたい。瀬戸内町が全国の有人離島の課題解決のモデルになるよう取り組む」と話している。