公金3786万円を詐取 職員を懲戒免職処分 知名町が調査結果発表

2024年05月11日

政治・行政

元職員の公金詐取について会見で謝罪する知名町の今井力夫町長(中央)ら=10日、同町

町職員による公金の不適正処理があったとされる問題で、知名町は10日、高額障害児通所給付費など障がい福祉関連の公金計3786万9489円をだまし取ったとして、男性職員を懲戒免職処分にしたと発表した。今井力夫町長は「町民の信頼、町の名誉と信頼を著しく損ねる行為であり、町政を預かる町長として責任を痛感している」と謝罪した。

 

この日、同町のおきえらぶ文化ホールあしびの郷・ちなで記者会見を開いた。

 

懲戒処分を受けたのは子育て支援課に所属していた男性主査(38)で、処分は4月26日付。町によると、元職員は保健福祉課に所属し障がい者福祉事務を担当していた2018年10月~21年3月、重度心身障害者医療費助成金75件計約1315万円と、預金通帳や印鑑を管理していた障がい者2団体の預金通帳からの引き出し9件計約76万円を詐取していた。

 

子育て支援課に所属し障がい児福祉事務を担当していた21年4月~24年3月にも、高額障害児通所給付費217件計約2395万円を詐取していた。

 

重度心身障害者医療費助成金と高額障害児通所給付費は、ほとんどの会計処理が元職員を介する流れで、元職員は実際に支給対象者となる実在の人物の氏名を使い、架空の内容で助成金などを水増し請求。受け取った現金は主に個人の口座に入金し、一部を現金で管理していたという。

 

今年2月、所属課係長が決済の覚えのない資金前渡し伝票に気付き、翌月22日にも同様の支出が行われていることを確認。元職員に説明を求めるとともに、関係職員で内部調査を始めた。

 

4月に入り、体調不良で入院していた元職員が詐取を認め、懲戒処分に関する審査委員会で処分を決定した。元職員は「競馬に使った。町民、町に迷惑を掛けて申し訳ない」などと話し、弁済の意向を示しているという。町は刑事告訴する方針。

 

今井町長は「会計処理や事務処理の進め方に対するチェック体制に大きな原因と課題があると考えている。二度とこのような事案が発生しないよう、業務の改善と職員の指導を含めた抜本的な取り組みを進めていく」と述べた。

 

町は今後、監督責任のある当時の関係課長らの処分についても同審査委員会で検討。町長と副町長の処分案を6月町議会に提案するとしている。