奄美7市町、21年度1億円超 ふるさと納税、トップ徳之島

2022年05月01日

政治・行政

 古里などの応援自治体に寄付を行うことで税金の還付・控除が受けられる「ふるさと納税」。南海日日新聞が奄美12市町村に取材した結果、2021年度の寄付総額(速報値)は前年度比5・9%増の15億9047万6千円、寄付件数は同20・4%増の14万5273件だった。市町村別の寄付額トップは徳之島町の4億2934万8千円(前年度比18・4%減)。奄美市や和泊町、与論町など7市町で1億円を上回った。

 

ふるさと納税寄付金は自治体の自主財源となる。寄付者へ謝礼として贈る「返礼品」は地場産業の振興にもつながるため、各自治体とも制度を積極的に推進している。

 

21年度の寄付額は奄美、大和、宇検、龍郷、喜界、天城、和泊、与論の8市町村で増え、瀬戸内、徳之島、伊仙、知名の4町で減った。

 

寄付額が最も多い徳之島町は、19年度の6億5289万円を最高にここ2年間は減少が続く。同町担当者は「20年度と比べて寄付件数は微減だったが、牛肉など高額な返礼品の申し込みが減少したため苦戦している」と説明。

 

一方で「小さな事業者が作っている黒糖や塩、ジャムなどは前年度以上に申し込みをいただき、マンゴーやタンカンなど農産物も好調。今後は事業者の思いや人柄などを紹介サイト内でPRし、事業者と寄付者をつなぐ取り組みを推進していく」としている。

 

天城町と和泊町、与論町は寄付額が初めて1億円を超えた。中でも和泊町は寄付件数が5万3201件と、奄美群島では前年度に続き2年連続でトップ。千円、2千円といった少額寄付の取り扱いが奏功した。

 

和泊町の担当者は「ふるさと納税をきっかけに沖永良部島を知ってもらい、島に興味を持ってもらうことで関係人口の増加につなげたい」と波及効果にも期待を寄せた。

 

天城町は21年度からふるさと納税の同町紹介サイトを3社から5社に拡充したこともあり、寄付額と寄付件数が20年度比で約1・5倍に伸びた。担当者は「マンゴーやパッションフルーツ、メロンなど、町内で生産される季節の果物を扱った『フルーツ定期便』が人気となり、リピーターが増えている」と手応えを語った。

 

このほかの自治体担当者からは「村内で新規に農産加工物の商品開発をする事業者が増え、返礼品が拡充したことで寄付件数と寄付額が20年度と比べて倍増した」(宇検村)、「新型コロナの影響による巣ごもり需要もあり、新規申し込みが増えた。今年度は寄付をどう活用しているか寄付者に周知する取り組みも強化したい」(知名町)などの声もあった。