世界遺産登録効果を最大限に 奄美市、公民連携会議が初会合

2022年05月30日

政治・行政

奄美市役所で初会合を開いた、世界自然遺産活用プラットホーム=29日、同市名瀬

奄美市は29日、奄美・沖縄の世界自然遺産登録効果を地域振興に生かすことなどを目的とした公民連携会議「世界自然遺産活用プラットホーム」(座長・須山聡駒沢大学教授)を設立し、奄美市役所で初会合を開いた。安田壮平市長から委嘱を受けたメンバー14人が、協議したい内容を出し合い、今後の進め方などを確認。年度内に計6回の会議を開き、市長へ成果報告を行う。

 

公民連携の場(プラットホーム)を設置することで、さまざまな立場の人が自由に議論を交わし、市民参加型の政策実現を目指す。具体的には、観光振興や、市民の自然保護意識・郷土愛の醸成など、遺産登録の効果を最大限に生かす方策などについて話し合う。メンバーは環境、産業などの分野から公募、指名、推薦で選出し、任期は1年間。

 

市側は、提言や意見を最大限尊重し、予算編成や施策立案に役立てる方針。冒頭、安田市長は「登録は新たなスタート。遺産登録されてよかったと思えるよう、地域全体で努力していくことが大事。行政だけでなく、民間の方々とも一緒に、そういう地域づくりを目指したい」とプラットホーム設立の趣旨を説明した。

 

議論したいテーマについて出席者から▽持続可能な観光振興のための旅行者への宿泊税などの導入▽ガイドら観光従事者の次世代の担い手育成▽オーバーツーリズム対策▽住民や来島者への効果的な自然価値の伝え方の検討▽自然との共生の中で育まれた、奄美の文化的価値の共有と活用-などが挙げられた。

 

自然環境を専門とするメンバーからは「すでに一部の観光コースはオーバーツーリズム気味で、(自然環境を守る観点から)新たな観光コースづくりによる旅行者の分散化が必要」といった意見もあった。

 

会議後、須山座長は「島の人に、自分たちの島に対する自信と誇りを持っていただく。その起爆剤になるような意見を会議で出していけたら。今回もいろんな意見があり、今後、新しいアイデアにつながると期待している」と述べた。

 

次回は7月16日午後2時を予定。 4人のメンバーが「新たな観光コース」や「シマの文化」などに関して企画・提案説明を行い、それを基に議論を深めていく。一般市民も傍聴できる。